おもと冬の管理

万年青 冬の管理

「おもと」は宮城県以南の低山に自生していますので、寒さに強いです。暖房などで暗室育ちさせると弱るもとなので、なるべく自然の寒さに当てて育てましょう。北海道でも、ムロや室内の暖房していない部屋で充分越冬させることが出来ます。

不織布で覆うと湿度が保ちます。

置き場所

おもとは寒さに強く、氷点下2度くらいまでなら作場で管理できます。雪をかぶるような場所でも大丈夫です。ただし、寒風や霜に何度も当たると葉傷みが出ることもありますので、できれば霜の当たらない軒下などに置いたほうが安心です。霜に当たるような場所で管理している場合は、夜間のみ不織布をかけて保護します。日中もそのままにしておくと温度が上がることがあるので、陽が高くなる前に取り外します。無加温のフレームがあればなお良いのですが、寒冷地等では、室内の暖房の影響の少ない場所、鉢数がすくなければ玄関などでも良いでしょう。暖房器具の前などに置くと乾燥と高湿で弱ってしまう事があるので注意します。氷点下5度を何日も下回る地域では、ムロや穴の空いた発砲スチロールの中に入れて、水をほとんどあげずに完全に休眠させる方もいます。

 

屋根のない場所で管理している場合、降霜によって葉を傷めることがあるので、夜間は不織布をかけておもとを保護する。
※愛知県平野部(最悪で最低気温-7程まで)では何もしなくても葉の緑が薄くくすむ程度で春になると色も戻るので霜よけは必須ではありません。

雪は?

アメリカの植物園ロングウッドガーデンでは-25℃まで外で元気にしています。

冬の採光はおもとが充実するので、朝日に当て、10時くらいから寒冷紗などで遮光率50%程度に遮光します。長時間直射日光を当てると色があせるので気を付けてください。木陰などで管理している場合は、寒風、強風が当たらないよう風除けをしましょう。

観賞価値と生きること

万年青が生きることだけを考えると、アメリカの愛好家の例をみても、-25℃や-30℃でも上手に慣らせば育ちます。しかし、観賞価値はやはり下がってしまうのが実情です。寒さに当たった葉は焼けてきますし、霜焼けのようになってしまいます。次の年、新しい葉がでてくれば隠れるので大丈夫という方もいます。

ですが、それだけの寒さに当てた万年青は非常に強くなり、夏の気候の変化や高温多湿にも強くなります。逆に、温室育ちで冬の寒さをあまり経験させないと、夏は暑さで倒れやすくなるので、夏も温度調節のある温室育ちになってしまいます。

私たち万年青の豊明園では、世界中のどこへいっても丈夫に育つスパルタ苗、を目標にしておりますので観賞価値がギリギリ落ちない、もしくは少し落としてでも、寒さにあて、暑さにあて、どこにいっても丈夫に育つようにしております。

 

 

水やり

夏の間は日中の蒸れ防止のため夕方に行いますが、寒い季節は夕方に水をやると夜間に凍ることがあるので、鉢の乾き具合をよく観察して出来るだけ晴れた日の午前に水やりを済ませます。矢作砂や軽石主体の植え込みでは夏はほぼ毎日やっていたのに対し、真冬では5日間も間隔をあけることもあります。寒い時期はおもとも休眠期になりますので、鉢の乾きも暖慢になります。地域ごとにタイミングが違うので鉢をよく観察することが大切です。

肥料

冬の寒い時期にアク汁を数回与えても良いです。

病中害対策

気温が低くなり、病害虫の活動もみられなくなりますが。病気は枯れ葉で越冬します。年中言えることですが、特に冬は枯れ葉をとり、棚下まで清潔に保ちましょう。おもとが完成木に入るこの時期、各地で愛好会が展示会を行っています。栽培管理のアドバイスをいただくこともできますし、丹精込められて育てられた一流の美術木を間近に見ることもできます。今後の栽培の指針となりますので、是非足を運んでください。

 

月ごとの育て方、管理は?

おもと夏の管理

おもと秋の管理 

万年青の育て方 9月  万年青の採光・水やり・肥料・台風

おもとの育て方 10月  おもとの採光・水やり・通風・展示会

万年青の育て方 11月  11月オモト・採光・施肥・根っ子

岡崎 万年青の根っ子      10月の根っ子

万年青の管理  水苔・植え替え

おもと冬の管理 

万年青の育て方 12月岡崎 オモト潅水・採光・防風・防寒

万年青の育て方 1月 岡崎 オモトの実・寒さ対策

万年青の育て方 2月 岡崎 オモト冬の管理・根・肥料・水やり

冬の寒さ対策       12月凍る場合の寒さ対策

おもとの耐寒性      アメリカ・ロングウッドガーデン

おもとの耐寒性      寒さに強い植物

おもと春の管理

万年青の育て方 3月 オモトの採光・植え替え・種まき

万年青の育て方 4月 おもとの採光・肥料・芋吹き

 

 

万年青 冬の管理

11月から2月の、万年青の冬の管理についてお話します。

トピックは、

・寒さと冬に傷む時 霜 /凍った時 /環境の変化 /夕方、夜の水やり /寒風、強風と風よけ、風囲い

・水やりは朝

・日当たり

・肥料

・病害虫です。

 

おもとが傷む原因の9割方は夏の暑さと水の多さですが、涼しい地域や寒さが厳しい地域では冬の寒さでも傷むことがあります。万年青の先輩方の失敗をきいて、大失敗をさけて、穏やかな冬の作を楽しんでください。

寒さと冬に傷む時

万年青は、万年、青いという名前通り、他の植物が葉を落とす冬場も、青々とした葉を見せてくれます。-30℃のアメリカでも万年青は外で育っています。万年青は寒さに強いです。ですが、いくつか気を付けるポイントがあります。

霜に何度も当たると葉の色が悪くなります。直接霜に当たらないように、波板やビニールで屋根をつくったり、軒下に入れましょう。豊明園では数回当てたいと思って作をしています。

凍った時

マイナス3-5℃くらいから万年青は葉が凍り、どす黒い色になっていきます。この場合は、そのままか、日陰に置いて自然解凍するようにします。暖かい部屋に入れてすぐに解凍したり、直射日光があたると細胞が溶けてしまうことがあるので厳禁です。

 

環境の変化

温かい部屋から一気に寒い外へ出すと、温度の急激な変化で、万年青が傷みます。逆の寒い外から暖房が暖かい部屋にうつるのもよくないです。

夕方、夜の水やり

夜中氷点下になる日に、夕方や夜に水をやると、その水が夜中に凍って根を傷めます。最悪、根がすべてダメになります。寒い地方では、朝水をあげて、夜にはしっかりと水がきれるようにします。マイナス5℃以下に長期になる場所では、特に気を付けます。そういった場所は、秋の植え替えも早くするか、春に植え替えをするとよいでしょう。

寒風、強風と風よけ、風囲い

冬は北や西から強い風、寒い風、乾燥した風が吹きます。葉先や葉の白い部分はその乾いた風で風焼けを起こします。この風焼けは新根が本格的に動く春やゴールデンウィークくらいまで起こるので、寒冷紗や板、不織布などで風囲いをします。風囲いは完全に囲うと冬の日差しで高温になるので、空気が通る素材や、上は囲わないなど、気を付けます。

 

 

水やり

秋は秋芽が動く生長期なので、水を欲しがりますが、最高気温が20℃を下回ってくるとだんだん鉢が乾かなくなってきます。軽石、伊勢砂、日向土が主体の豊明園では、秋3日に一回くらいですが、真冬では1週間か10日に一度の水やりになります。万年青は寒さで休眠に入りますので、鉢の乾きに合わせて、水やりを少なくしていきます。

この時、朝水をやるようにします。夏場は朝から暑いので朝水をやると水が煮えて根を傷めますが、冬は夕方水をやると、夜中にその水が凍って根を傷めることがあります。お忙しい方も、夜の水やりは控えて、朝水をやるようにします。

 

日当たり

日は直射日光はなるべく避けて、明るい場所で育てます。強く育てる場合、冬場はガンガン日を取りますが、葉色は悪くなります。日で焼けることはほぼないので、日をなるべく当てて、健康的な作を目指しましょう。

 

肥料

ワラ灰のみやります。豊明園では水やり代わりに適度にワラ灰をやっています。日を良くとって葉色が悪い時、極薄い液肥やマルチケーミンをやりますが、基本的には冬場は肥料はやりません。

 

病害虫

寒さでどちらも休眠していきます。室内や温室などの設備で育てている方ですと越冬することがあるので、冬場もしっかりと殺菌、殺虫をします。露地で育てる方では、寒さで動きませんが、月に一度は消毒すると良いでしょう。2~4月、新芽が動き出す時にはスリップスに新芽が食べられることがあるので、注意深く殺虫剤をします。

 

まとめ

 

冬場は寒さに伴って休眠していき、水やりも少なくなりますが、水が凍らないように朝水をやります。霜をさけ、風囲いをすると綺麗に万年青ができます。肥料は控えて、冬の柔らかい日で穏やかに育ててみてください。