万年青にはどの鉢が一番か?

 

黒鉢、プラ鉢、素焼き鉢の特徴と育て方

こんにちは、万年青の豊明園です。

今回は、お客様からのご質問、どんな鉢が万年青には一番良いのか、についてお答えします。黒鉢、プラ鉢、素焼き鉢の特徴と育て方

結論

結論は、黒鉢が一番よくできるが、どの鉢でも良く出来る!結局は、水やりや用土次第、という身も蓋もない答えになってしまいます。

私たちが、なぜ黒鉢が一番と考えているのか、万年青愛好家によく使われる黒鉢、プラ鉢と、素焼き鉢の特徴をご紹介します。

黒鉢、プラ鉢と、素焼き鉢の特徴

まず、それぞれの鉢はこの表のような特徴になっています。

鉢を、水持ち、排水性、通気性、根張り、観賞価値という点で比べてみました。

 

水持ち

水持ちはプラ鉢が一番持ちます。プラスチックなので、側面からは水、空気を通しません。鉢によっては、底の穴が数多く空いていて、水はけがよいものもあります。

黒鉢、素焼き鉢は、鉢自体が水を吸います。バケツの中に鉢を入れると、鉢から空気が何時間も細かく出てきますが、微細な空気の通り道があるからです。そのため、鉢の中の水が多ければ鉢が吸収し、鉢の中が乾燥すれば鉢の水分が出てきます。木造建築が、湿度のある時には木が吸い、乾燥したときには木から水がでてくるのと同じです。黒鉢、素焼き鉢は、100%ではないですが、湿度を上手にコントロールしてくれます。

排水性

排水性を考えると、黒鉢は鉢の底が大きく穴が開いているのですっと水が抜けます。素焼き鉢は底の穴が小さいことも多く、排水性は黒鉢が一番です。プラ鉢は鉢底の穴や形によります。穴が多いと排水性はよいです。水がたまる場所がないように作られていれば、水はけよく、水は腐りません。

通気性

素焼き鉢が抜群によいでしょう。空気を良く通します。長く育てているとアオミドロのようなものが付くことがありますが、見つけたら取り除いた方がよいです。

黒鉢は見た目とは違い、こちらも非常に通気性が高いです。1200℃で真っ赤になるまで焼き、そこから一気に水の中に入れるので、非常に細かなヒビが入り、そこが空気の通り道になっています。400年前、千利休さんたちが作り上げた楽焼という製法で、強度は全く問題ありません。実際にどのように焼いているかも動画がありますので、興味のある方はどうぞ。

※動画 リンク

プラ鉢は鉢の側面の通気性は望めません。そのため、ハンダコテなどで穴をあけ、側面の通気性を求める方もいらっしゃいます。

 

根張り

これは使う人によります。それぞれの特徴を良く知って、用土、水やりによってどれも抜群の根張りを達成できます。黒鉢、素焼き鉢は側面で空気、水が出入りするので、側面にびっしりと根が張ることが多いです。プラ鉢も、側面は空気の通り道でもあるので、同じく側面に根を張ります。

 

鑑賞価値

こちらは、江戸時代から使われていた黒鉢に一日の長があります。黒鉢の高さと横幅は同じで、胴返しと呼ばれていますが、非常に美しい姿を見せてくれます。黒も万年青の渋い魅力を引き立たせるのにぴったりで、毎日家の中に入れて黒鉢に植わった四君子を見ながら、お酒が呑みたいです。

プラ鉢は丈夫で、落としても割れません。今は非常に安価なものもでてきて、気軽に使えます。二重鉢にするため、一回り大きな鉢をかぶせることもしやすいです。

素焼き鉢は、実親などの実の付く大きな鉢で使われることがあります。6号、直径18cm以上の大きな鉢では、鉢の中心がなかなか乾かず、そこから根が傷むことがあります。黒鉢や素焼き鉢にすることで水はけよくよく乾き、根の環境が良くなります。重いのが欠点でしょうか。

 

育てる時に注意すること

黒鉢、素焼き鉢は最初の使い始め2週間から1か月は、万年青ではなく、鉢が水を吸います。そのため、使う1日前、出来たら3日前には水たっぷりのバケツの中に入れて、鉢に水を吸わせた方が良く出来ます。

私たちは芋吹きや実親、大葉など、少ししか素焼き鉢を使っていません。水はけのよさなど良い点も多いのですが、やはり数が多くなると軽い黒鉢やプラ鉢の方が扱いやすいです。

プラ鉢は種類が豊富過ぎて私たちはすべて使ったことがありませんが、中に線が入り水はけを良くしたものや、鉢の底にしっかりを穴が開き、水はけのよいもの、水が底に留まって腐らないものを選ぶと良いでしょう。

 

まとめ

プラ鉢は水が持ちやすいので、水が多すぎて根が傷むのを気を付けて、水やり、用土を選びましょう。

黒鉢は万年青のために江戸時代から使ってきた鉢です。万年青作りや、万年青を鑑賞して楽しむには最高、最適の鉢です。使い始めに鉢が水を吸うので気を付けてください。

素焼き鉢はよく乾くので、用土、水苔との相性を考えてください。肥料が多いと、アオミドロが湧きやすいので気を付けてください。

 

どの鉢でも名作者に成れます。自分のお棚環境、水やりの頻度も考えながら、鉢を選んでも楽しいですね。

 

 

 

 

●動画解説 【万年青の鉢】プラ鉢、黒鉢、素焼き鉢、どれで植え替える?特徴と育て方の注意点

【万年青の豊明園】【Repot pot OMOTO】水持ち、排水性、通気性、根張り、観賞価値

 

 

 

おもと鉢 大きさ

おもと鉢 楽鉢

おもと鉢 作り方 |黒鉢 楽鉢|楽焼

 

 

初心者向け 鉢が大きいと何が悪い?

こんにちは、万年青の豊明園です。今回は、初心者向けに、鉢が大きいと何が悪い?についてお話します。

トピックは、

1,写真でみる展示会の鉢は小さすぎ

2、鉢がぴったりって何?

3、萬年青は、乾いたときに根を出す

4、鉢が大きい方がいいとき

5、まとめ

6,一歩進んで

です。では、いってみよう!

 

1,写真でみる展示会の鉢は小さすぎ

展示会では、萬年青を一番美しくみせるために、少し小さな鉢で植えています。そうすると、バランスよくカッコよく植わります。逆三角形が一つの理想ですね。皆さん、多くの場合、育てる時は展示会の鉢より一回りほど大きい鉢にうえて育てています。

 

2,鉢がぴったりって何?

展示会に出品するのにぴったりなのか、育てるのにぴったりなのか、はたまた、自分の水やりにとってぴったりなのかで鉢は違います。

自分の水やりにとってぴったりな鉢を考えていきましょう。例えば、皆さん仕事が忙しくて1週間に2回ほどしか丁寧に万年青を見れない時、小さな鉢ですと早く水切れになるので、水切れで万年青を枯らしてしまうかもしれません。

また、一日中万年青の世話をしたい、そこまでではなくても、毎日万年青をみる時間の余裕がある方では、大きな鉢にするとついつい水をやり過ぎて、根腐れの元になるかもしれません。

 

3,萬年青は、乾いたときに根を出す

萬年青は、鉢が乾いたとき、これじゃあ水が足りないと思い、水を求めて根を伸ばします。そのため、よく乾く小さめの鉢で、一時しおれ点前に水をあげた方がよく根が出ます。

私たちは、皆さんにお時間があって、できるのなら、よく乾く小さめの鉢をオススメしています。

4,鉢が大きい方がいいとき

お仕事バリバリで気が付くと週末になってしまっている方や、お棚の環境が高層階で風が良く通り、乾きやすい場所で育てている方、旅行、出張で1週間水やりできない方では、自分の環境に合わせて、鉢を大きくゆるめ、水切れをさせない方がよいでしょう。ゆっくりと乾かすために、土や赤玉土などで水持ちを良くして、鉢も乾きにくい鉢にしましょう。

万年青を始める若い方、お仕事現役の方も増えていますので、鉢が大き目の方もこれからもっと増えていくかもしれませんね。

 

5,まとめ

写真でよくみる展示会の鉢では普段は小さすぎます。出品者は展示会のために小さな鉢に植えているだけで、普段は一回り大きな鉢で育てています。

自分の水やり、自分の生活にあった鉢を見つけましょう。

鉢が大きいと水をよく持ち、鉢が小さいと乾きやすいです。素焼き鉢などの乾きやすい鉢や、赤玉土などの乾きにくい用土があるように、鉢、用土でも乾きやすさは違ってきます。

6,一歩進んで

一年で一番乾くときは春の生長期から夏場です。その時期の乾きと水やりを考えて、鉢の大きさを見極めていきましょう。

 

●水やりが楽になる鉢の大き【鉢が大きいと何が悪い?】初心者 水やりのタイミング 鉢がぴったりって何 いつ根を伸ばす

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