
ただ一筋に万年青をはぐくむ
おもとの独特の葉芸を解説します。
おもと独特な珍しい芸 鈴虫剣(すずむしけん)
鈴虫剣(すずむしけん)
この長楽殿は特色あるおもとで、鈴虫剣だけでなく、甲竜、二面竜、雅糸竜、跳ね竜、剣葉(本剣)、熨斗葉など、羅紗おもとの出す芸をすべて出すおもとです。
大正時代に三河で生え、昭和8年、豊明園初代が命名、紹介す。
玉竜 たまりゅう 芸について
おもとの獅子の歴史は古く、江戸時代から獅子は存在します。広く植物を見渡しても、ただ葉の巻くという種類だけでおもとほど品種があり、多種多様な巻き、芸、変化と面白みのある植物はないでしょう。
伸ばせば30センチはあるんじゃないかという獅子、玉獅子のようにゆったり優雅に巻く獅子、四君子のように強く激しい巻きを魅せるもの、五万石のように巻きに繊細な絹雅糸龍をみせるものなど、品種ごとにみていくほど、より面白さは増します。
始めてみる方は、水忘れているよ!病気じゃないの?盆栽みたいに針金でわざわざ巻いているんでしょ!?なんてことも言われる獅子葉。もちろん水はしっかりやっていますし、病気ではありません。おもとは自然のままを楽しみますので、針金も使いません。自然にこのように葉が巻いていく様子は神秘的でもあります。
おもとは一葉の中に森羅万象を現す言葉通り、獅子を現す獅子系統。気品のある巻き、芸を是非楽しんでみてください。
獅子芸 根っ子 2年生
獅子芸 根っこ1年生
左の写真 縞甲竜の根、 右の写真 獅子の根
獅子芸 根っこ1年生 根が巻き始めました。葉はカールして、葉の縁はビリ芸を見せています。
樋状の直線的な葉「日月系」の特徴。筒状に巻き込むこともある。葉の縁が内側に巻き込んだ葉で、日月系の品種に多く現れる。
おもと 6月の時期の日月系統
日月系統は、江戸時代からの歴史ある萬年青ですが、もともと葉が内側に巻いている葉で、筒のような形状をしています、筒葉。樋(とい)に似ているので樋(とい)葉ともいいます。独特な姿、覆輪、縞、図、虎、羅紗葉と種類もさまざま。一年にでる葉数が多いので姿は整いやすいです。
新芽がその筒の中に入ってしまって出れないことがあるので、
やさしくだしてあげましょう。
日を採っていくと、しっかりと伸び、緑が濃く、覆輪の白も冴えてきます。6月の写真。
力和 (りきわ) 3.3号鉢 1年目 芋吹き苗 広葉に薄い覆輪を見せる。
力和 (りきわ) 3.3号鉢 2年目 少し覆輪も深くなり葉肉も厚くなります。
力和 (りきわ) 3.5号鉢 3年目
雅糸竜が葉全体に現われ本芸を見せ始める。
力和 (りきわ) 3.8号鉢 5年目 葉芸を現し、特徴を全体に現す。
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おもと葉芸の変化 最高峰(さいこうほう)
最高峰(さいこうほう) 3.3号鉢 1年目 芋吹き苗 細葉に覆輪を見せる。
最高峰(さいこうほう) 3.3号鉢 2年目 少し覆輪も深くなり雅糸竜をみせ、葉肉も厚くなります。
最高峰(さいこうほう) 3.5号鉢 3年目 雅糸竜が葉全体に現われ本芸を見せ始める。若い力ある木は子上げしやすい。
最高峰(さいこうほう) 3.8号鉢 5年目 葉芸を現し、特徴を全体に現す。均整の良い品種。
嶺雲(りょううん) 3.5号鉢 1年目 芋吹き苗 広葉に覆輪を見せる。
嶺雲(りょううん) 3.5号鉢 2年目、少し覆輪も深くなり熨斗葉・二面竜をみせ葉肉も厚くなります。
嶺雲(りょううん) 3.8号鉢 3年目、葉肉厚くなり本芸を見せ始める。
嶺雲(りょううん) 4.0号鉢 5年目、葉芸を現し、特徴を全体に現す。腰太く力強い丈夫で作り易い入門品種。
新生殿(しんせいでん)3.3号鉢 1年目 芋吹き苗広葉に薄い覆輪を見せる。
新生殿(しんせいでん)3.3号鉢 2年目少し覆輪も深くなり葉肉も厚くなります。
新生殿(しんせいでん)3.5号鉢 3年目 雅糸竜が葉全体に現われ本芸を見せ始める。
新生殿(しんせいでん)4.0号鉢 5年目 葉芸を現し、特徴を全体に現す。
この万年青が折熨斗芸の元になっているおもとです。中型ですが、きちんと折熨斗の芸が見えると思います。
古くは、天皇陛下お買い上げの万年青として、折熨斗縞(折熨斗に縞の入ったもの)とお多福が記録が残っており、由緒あるおもとです。この折熨斗も今の現役で実親として使えるだけでなく、価格はそこまでではないですが、今では非常に稀少な江戸万年青としても人気です。折熨斗芸は雅糸龍と比べて、繊細なイメージがあります。折熨斗芸がメインの品種も、数がそんなにあるわけではないので、集めていくと面白いでしょう。 熨斗芸を見せる品種 『翠峰』 『幽谷錦』 『天人冠 』
力和も熨斗芸も含めた多彩な芸をみせます。
熨斗葉(のしば) 品種 幽谷錦(ゆうこくにしき)
葉の縁が元から葉先にかけて祝儀に使う折熨斗のような形の葉を言う。熨斗芸とも言う。
熨斗葉(のしば) 品種 幽谷錦(ゆうこくにしき)
葉の両側の縁が熨斗を折ったように折れているもの。熨斗芸とも言う。
例えば、出雲錦の熨斗葉と、殿様の熨斗葉では感じが全く違います。
それぞれの品種らしさを引き出してあげると、よりおもと作りが楽しくなっていくと思います。