万年青の魅力
原種の万年青からの変化がすごい
現代の万年青を知らない人にとって、現代の万年青の見ても何が凄いのか、変わっているのかは分かりにくいと思います。
原種の万年青からの変遷を見ていくことで、現代の万年青がどれだけの進化をこの500年ほどでしているのかを知っていただきたいです。
日本/中国原産と言われる万年青の原種は以下の様だったと思います。
索引
原種の万年青はどんなもの?
日本の淡路島 諭鶴羽神社の原種の万年青
また、400年前の万年青の彫刻をみると
九州の英彦山神宮の正面の万年青彫刻
※万年青の彫刻 万年青の歴史を探る手掛かり 古い万年青の彫刻一覧
英彦山神宮 ひこさんじんぐう
神社の正面に非常に精密な万年青の彫刻があります
虫食いなども再現されています
外にある彫刻はこの万年青彫刻のみか
京都の地主神社の万年青彫刻
同じ敷地内の北野天満宮にも万年青の彫刻があります。
諭鶴羽神社や400年前の彫刻のような万年青が原種の万年青でしょう。
そこから
同じく、500年前の室町時代 池坊も下のような生け花において大象観を使っていたのではないかと言われています。大象観も原種の万年青の一つといってもよいでしょう。
生け花 「大象観」 だいぞうかん/たいしょうかん 古いので呼び方多数説あり
同じく、生け花で「都の城(みやこのじょう)」も非常に古いと言われ、一説には江戸以前とも
これらの原種の万年青から400~600年かかって、現代の万年青に変化してきました。
実親や江戸時代の万年青にその進化/変化の途中の万年青があります。
羅紗・縞甲の変化 玉川竜から新生殿
明治の万年青 「玉川竜・たまがわりゅう」 もしかすると江戸かもしれない
大人気品種、「錦麒麟・きんきりん」の親で、錦麒麟が作出されたのが明治32年なので、少なくとも明治20年代には存在していたでしょう。
この玉川竜を親にして多くの実親もでき、現在の縞甲系や羅紗系の先祖にあたります。江戸時代、玉川竜に似たような縞甲系、羅紗系を生やす実親が何系統もでき、新品種作出がますます面白くなっていきます。
羅紗の王様
江戸から続く品種改良でここまで小さく、雅糸竜などの芸をもつものが生まれた。原種から思うととても長い道のり。
獅子の変化 江戸時代の玉獅子から現代の五万石
江戸時代からある「玉獅子・たまじし」 11月の写真で実が赤く色づくところ
今の獅子の芸の凄さを思うと、ただ葉がカールしているだけともいえるが、ここまでの変化ができるまでにどれほど時間がかかっただろうか
獅子の原種と言われ、現在では偽物も多く出回り、品自体も非常に少ない
獅子 「五万石・ごまんごく」
獅子の王者
甲竜、雅糸竜、絹雅糸竜などをみせ、様々な芸がのり、かつ姿も美しい
原種からここまで変化してきた万年青の品種改良の歴史が面白い
江戸時代のオモト愛好家にとっての万年青
こういった原種からの変化をみていくと、万年青の品種改良の技術の高さがわかります。
江戸時代の人たちは今よりもっと原種のおもと、引越しおもと、薬草としてのおもと、生け花のおもとをよく知っていたので、万年青の変化、新品種の面白さが良く分かったのでしょう。
現代人にとっての万年青の凄さ 変化朝顔は分かるけど万年青は分からない!??
現代人がいきなり現代の最新の万年青をみても、変化朝顔のように凄さ、良さがなかなか理解してもらえないのもここだと感じています。朝顔は日本人全員知っていて、変化朝顔をみると驚きます。万年青も、原種の万年青をみて、現代の万年青をみると、ほんとに同じ万年青かと思うほどの珍奇な変化をしています。原種の万年青を知らない人にとっては同じ万年青とは考えもしないと思います。
万年青の展示会を全国で行っても、これは本当に万年青ですか?という質問は非常に多いです。また、原種の万年青をしらない方にとっては、羅紗の万年青をみても、これが万年青なんだとなってしまいます。
万年青の原種から新品種が出来ていく驚きの過程を皆さんに知っていただけるように、万年青をこれからも世界中に発信していきます。