万 年青 秋 岡崎市豊明園 栽培管理
万年青の育て方 10月の管理の基本
10月は秋の生長期。しっかりと秋芽を伸ばして、木を充実させましょう。春から夏の生長の半分以下ですが、この秋芽の充実が来年の作にも影響を与えます。
三河おもと名品展 95回続ているおもとの展示会 愛知県岡崎市
植え替え
キンモクセイの花の咲く頃、オモトの植え替え最適期です。9月下旬~11月終わりまでに植え替えをしたいです。木の状態により弱った木や株分けする鉢を植え替えします。良く出来たオモトは錦鉢などに植え替え観賞します。
植え替えは1~2年に一度、古い根などを落として植え替えをすると気勢が上がります。新根が折れやすいので注意してください。
植え替えのベストな時期
ここで、一年で植え替えの一番しやすいのはいつか、について紹介します。
秋です。春と秋が植え替えの時期といわれますが、春の植え替えは、根、葉が動き始めているところに植え替えで環境がガラッと変わり、数週間生長が止まります。春の一番生長する時期に成長を止めたくないので、秋がベストです。
万年青は日本に自生する丈夫な植物ですが、近年の40℃にもなる暑さは厳しいです。夏の水のやり過ぎで根が落ちていることもあるので、そのチェックという意味でも、秋の植え替えはよいでしょう。
ちなみに、豊明園では
真夏以外は一年中植え替えをしています。
植え替え後の管理
植え替え後は、まだ根が活着していないのと、砂利が乾いているので、乾燥しやすいです。1~2週間は毎日水遣りをして、日よけをしっかりとしましょう。
肥料もすぐには置かず、2週間は開けてから置きます。
三河おもと名品展 95回(2021年時点)続ているおもとの展示会 愛知県岡崎市
10月の23日24日 第4(土・日)に開催します。
場所 おかざき農遊館 展示室
愛知県岡崎市阿知和町字乗越12番地 電話 0564-46-4700
灌水
10月10日 豊明園 外棚
水やり
この時期はオモトの根の動きが活発になる生長期。植え替えしたものは、水切れしないように早めの水やりを。他の万年青もしっかりと乾く前に水をやり、根、葉の生長を助けます。
台風の来る前の状態
この時期はオモトの根の動きが活発になっています。植え替えしたものは、水切れしないように早めの換水します。
鉢底のサナの色の変わりをみて鉢の中の水分を感じます。
採光
植え替えをしたオモトは、1週間ほど日陰で管理します。植え替え後、徐々に日光に当てていきます。葉の薄い物は日を採り過ぎると葉焼けします。植え替えをしていないものは、葉焼けしない程度の半日陰で日をとり、秋芽を徒長させずに作ります。
10月1日 福の光 採光の仕方により柄の出具合が変わります。他の曙系統もそうですが、10月に入っても午前中の2時間~3時間採光していないと曙柄がさめてしまいます。
通風
風通しの良く蒸れない場所で管理します。豊明園では窓は全開です。
10月18日 豊明園第二温室
施肥
固形の有機肥料を置き肥します。この時期の肥料で、秋芽と来春の出来が良くなります。植え替えをした万年青は、2週間は肥料をやらないようにします。
薄い液肥(スーパー1、マルチケーミン)で窒素リン酸カリや、微量要素を補給します。万年青の生長しやすい23~28℃の時はよいですが、暑すぎる、寒すぎる時は1~2万倍の極薄い濃度にします。
ワラ灰は10日に一度はやり、芋を締めます。株分けをよくする方、夏で根や芋を傷めてしまった方はワラ灰を高頻度でやることで木が強く、傷みにくくなります。
病害虫の予防と駆除
病害虫が発生する前に農薬散布すると効果があります。病害虫の被害防止のため早めの予防農薬散布をおこないます。秋も害虫の良く発生する気温帯なので、害虫を見つけたら早めに対処、殺虫剤を使います。農薬を使いたくない方は竹酢液などで忌避効果を狙います。
植え替え
キンモクセイの咲く前後、万年青を植え替えの最適期です。9月下旬~11月終わりまでに植え替えをしたいです。木の状態により弱った木や株分けする鉢を植え替えします。良く出来たオモトは錦鉢などに植え替え観賞します。植え替えは1~2年に一度、古い根などを落として植え替えをすると気勢が上がります。新根が折れやすいので注意してください。
10月22日 日月星の根っ子。
株分け
新しく出た子をすぐに外したい気持ちは私もよくわかります。まずは気持ちを落ち着けて、子株の根数をみてみましょう。一般に小型種なら3-5本、大型種なら5-8本以上根があればまず大丈夫です。出来れば、子供が独り立ちできる2才子以上で分けた方が、子の生長はよいです。逆に親の充実を図ろうと思うとき、子が出たら早めに外し、子に栄養を取られないように育てる方法もあります。
10月7日 新根が元気よく出ています。
10月17日 大像観 実が葉の色と同じになる。
鹿児島おもと名作展 毎年9月末か10月に開催されます。
鹿児島おもと名作展 見事な大葉(薩摩オモト)が見られます。
奇跡の星の植物館 兵庫県淡路市夢舞台4番地
古典植物の展示 江戸時代に楽しまれた植物 万年青・富貴蘭・長生蘭・松葉蘭・錦糸南天などの展示
奇跡の星の植物館
10月28日 大黒殿(だいこくでん)
10月30日 豊明園 外棚
新生殿(しんせいでん)根の状態 古い万年青の本と今の本
おもとの仕入れ
台風対策
9月同様、台風が来る際は万年青の室内への取り込みや、資材が飛ばないようお棚の安全を確認します。
万年青の育て方 10月の管理の基本
岡崎 2019年(月ごとの値) 天気
月 | 降水量(mm) | 気温(℃) | 風向・風速(m/s) | 日照 時間 (h) |
雪(cm) | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
合計 | 日最大 | 最大 | 平均 | 最高 | 最低 | 平均 風速 |
最大風速 | 最大瞬間風速 | 降雪の 合計 |
日降雪の 最大 |
最深 積雪 |
|||||||
1時間 | 10分間 | 日平均 | 日最高 | 日最低 | 風速 | 風向 | 風速 | 風向 | ||||||||||
361.5 | 127.0 | 13.5 | 5.0 | 19.6 | 24.5 | 15.8 | 30.9 | 9.7 | 1.6 | 6.6 | 北北西 | 14.0 | 西 | 139.4 | /// | /// | /// |
万年青の育て方 10月の注意点
10月は植え替えの時期であり、秋の生長期であり、展示会を楽しみにされている方もいらっしゃるでしょう。それぞれの注意点をご紹介します。土植え、地植えの人には当てはまらないこともあります。
植え替え後の管理失敗、植え替えとは関係なく、万年青全般について、展示会と植え替え
植え替え後の管理失敗
乾きすぎ
植え替え後は、鉢、砂は新しいものにかわるので、今までとは比べ物にならないくらい乾きます。それは、万年青が根から水を吸うのとは別に、鉢や砂、土も吸うので、万年青の水が少なくなります。乾き過ぎに注意して、植え替え後は2週間は毎日水遣りをしましょう。
日の当てすぎ
砂利が変わって乾くので、そこに日を当てすぎると水切れを起こします。徐々に日をあてるようにします。
肥料を早く置く
根落ちや株分けの割口があると、そこに人間でいう【かさぶた】が2週間ほどでできます。それができる前に肥料を与えると、傷みの原因になってしまうので、2週間は肥料を控えます。
植え替えとは関係なく、万年青全般についての注意点
柄の暗み 曙、図、矢筈、虎、砂子、鼈甲、駿河など
怖がって日を当てないと、柄の冴えが悪くなります。日をしっかりを当てることで、秋冴えといって、柄が一段がよくなります。図や虎の白さが鮮明になり、肥料を置くことで、緑も濃く、柄が美しくなるでしょう。
逆のことだが、日焼け
日が夏と思うと柔らかく、ついつい日よけを忘れてしまいます。秋根がしっかりと伸び、水切れを起こさなければ焼けないが、焼けることがある。
この時も、日を当てた方が蒸散が活発になり、水を欲しがり、根が早く遠くへ伸びるので、そのバランスが大事。
水切れ
春と同じで、生長期は根が伸び、いつもより水を欲しがります。これは8月の終わりから根は伸びだしているのですが、その時期は水を切らすことはあまりないです。涼しくなった10月や、春だと2~4月に水が切れやすく、水が切れると葉焼けを起こすので注意。
万年青の生長期と病害虫の元気
万年青の生長期は、病害虫も元気になる、と考えて間違いないです。虫も、病気も早めの対策を心がけましょう。
展示会と植え替え
植え替えをすると、その刺激、鉢内の環境の激変!?で新根がでて、古葉を落とします。その刺激で新芽の伸びもよくなりますが、展示会を狙っているものは下葉が落ち、葉数が減るものもあります。展示会を狙っているものは、その直前、1週間から数日前に植え替えをした方がよいでしょう。
株分け
植え替えの際、株分けをされる方もいるでしょう。早くふやそうと無理に株分けをせず、根が多く、子が充実してから、芽がでて2年ほどたったら株分けをするのが一番安全です。
早く株分けをすると、親芋との割り口が大きく、それだけに傷口が大きくなってしまいます。桑炭を粉砕したものをそこに塗って、傷みがはいらないように、傷口がうまないようにしましょう。子供の芽が2年ほどたつと、割り口も小さくなり、人でいうと30針縫うのが、10針縫うようなイメージでしょうか。
8月の終わりから株分けをされる方はいらっしゃいます。
植え替えの環境変化 用土と環境
植え替えの際に、友人にこの用土がいいと勧められ、用土を変える、鉢を変える方もいらっしゃいます。万年青は趣味なので、人の自由です。ですが、用土や鉢を変えると、今までの水やりのペース、肥料の効き具合、日よけ、風通しによる乾燥具合、多くが変わっていきますので、そこの頭の片隅に入れて、用土の変更をしましょう。
用土についてはお客様、プロでも様々なお話があります。ある人は勧められるとどんどん用土を変えて、今までの経験が全く通じなくなって、万年青があまり良くできない人と、また、それらの用土の特性と、自分の環境、日当たり、風通し、湿度などの自分の環境にベストな用土を見つけて全国的な名作者になっていく人。
また、最初に教えてもらった用土を、全く変えずに、水やりのタイミング、日よけ、肥料の量などを用土に合わせていって全国的な名作者になっていく人。
このように、様々に工夫するところがあるので、自分に合った方法で万年青を楽しんでください。自分が楽しめないと趣味ではないです。武士道のように道を究めるように万年青作りをするのもよし、良くつくりたい、沢山ふやしたい、引越しおもとをただ元気に育てたい、万年青作りの動機も様々なので、ご自分にあった万年青作りを楽しんでください。
10月の育て方 注意点 まとめ
・植え替え後は、水切れ、日の当てすぎ、肥料に注意します。
・図、虎など白いものは怖がらず日に当てますが、細心の注意を払ってください。
・日を当てた方が蒸散が活発になり、水を欲しがり、根が早く遠くへ伸びるので、そのバランスが大事。
・秋の生長期なので、水切れ、病害虫に注意してください。
・株分けは傷口のリスクを自分の腕と天秤にかけて、見極めましょう。