裏雅糸竜(うらがしりゆう)

裏雅糸竜(うらがしりゅう)  品種 金龍閣(きんりゅうかく)
葉裏に雅糸竜を見せる葉。多くの人がびっくりしてしまうこの芸。

葉の裏側の芸は、この裏雅糸龍や裏玉竜、また、逆鉾(さかほこ)も葉の裏に芸がでます。これら、葉の裏の芸が特徴の品種を大きくまとめて、裏芸品種と呼んでいます。万年青の芸は表に現れるものという常識を打ち破ったおもとたちです。

特にこの金龍閣は芸が強く、裏雅糸龍の代表品種です。強すぎて、葉の表がほとんど、もしくは、全く見えません。芸の力強さが特徴のこの品種は、裏玉竜も現し、迫力満点です。裏玉竜は雅糸龍の中にみえる、こぶのようなものです。もちろん、病気ではありません。

万年青の芸の奥行きの深さを感じられるおもと。非常に珍しいですが、ぜひ楽しんでください。

 

裏雅糸竜(うらがしりゅう)  品種 金龍閣
葉裏に雅糸竜(甲竜が筋状にいくつも現われる葉)を見せる葉。

稚葉(ちば)

稚葉(ちば)    品種 新生殿(しんせいでん)
葉繰りの最初に出る短い葉。本葉と本葉の境にでる短い葉。

この稚葉は、大葉から小葉まで、すべてのおもとででます。葉繰りの終わりに出る葉、ともいえます。他の本葉とは明らかに大きさが違うので、すぐにわかると思います。葉が2年、3年とたまってくると、間に稚葉が確認できるので、この木は何年葉がついてるね、とわかります。

おもとの耐寒性

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おもとの耐寒性

ついついおもとが可愛いので過保護にしがちですが、おもとは実は非常に寒さに強い植物です。

おもとを厳しく育てている方は、このように10センチ以上の雪にずっと埋まっていても大丈夫だとしっているでしょう。あまり寒さが厳しいと綺麗には育ちませんが、その分強く育ちます。昔、ハワイで育てれば年中育つので倍の速さでおもとが大きくなるといって育てた方がいましたが、なぜだか2-3年目くらいから調子が悪く、うまくいきませんでした。おもとは冬の寒さを必要としているのかもしれません。

アメリカでは、-25℃の環境でも元気に育っています。温かいところに育てているおもとをいきなり-25℃の環境にしてはさすがにおもとも参ってしまいますが、ずっと外で管理していれば、おもとも環境に慣れて、寒さ、暑さに適応します。

万年青が万年、青々と常緑を保つのも、冬の寒さに強いからです。多くの植物が秋から冬にかけ葉を落とすのに対し、万年青は冬こそ青々と元気になります。

古代の日本人は寒さ厳しい冬に、青々とした常緑を保つ姿に神性をみて、生花では正月、祝いの花に、徳川家康公は引越しの縁起物に、万年青を使いました。

万年青の名もそこから来ています。

万年青が縁起物として重宝されるのと、耐寒性は切っても切れない間柄だったんですね。

常緑で耐寒性に優れるおもと。是非冬のお庭や野山でおもとを楽しんでみてください。

おもとの鉢について

 

おもとの鉢について  

新生殿 (しんせいでん)

おもとでは、多くの趣味者が鉢も楽しむことが多いです。それは、展示会のため、というだけでなく、自分の部屋や玄関など、飾るときに美しくみせるためです。

古く、徳川家康公がおもとを楽しんだり、殿様、諸侯がおもとを楽しんだ時、そのためにわざわざ鉢を焼かせるほど、鉢にはこだわりをもっていました。室内のしつらえに合わせるためなのか、床の間に合わせるためなのか、非常に素晴らしい鉢が残っています。

万年青は室町や江戸時代では盆栽とも呼ばれていて、盆は鉢、裁は植物を現します。ただの盆、鉢だったのが、だんだんと装飾を施されるようになり、今の鉢文化に繋がっています。

江戸時代終わりごろの書籍には、おもととともに鉢を楽しむ姿が描かれています。

現代では、いつ、どれを部屋で楽しんでもいいように、化粧鉢や錦鉢とよばれる鉢で作られる粋な方もいらっしゃいますが、多くの方が黒鉢、プラスティックの鉢を使われていると思います。それでも皆さん、正月や、春や秋の植え替えの気候のいい日には錦鉢に植えて、将軍様が楽しんだように、おもとを愛でています。

縁起の良い植物 おもと

徳川家康公が最後に造らせた久能山東照宮 おもと彫刻

おもとは中国では4000年前から、日本でも少なくとも1000年前から家庭の医学の薬草として、日本人になくてはならないものでした。

古代の日本人にとって、おもとの耐寒性は特に目立った特徴で、寒さの厳しい冬でも常緑で万年、青々と緑を保つおもとは、万年青と書かれるようになりました。

万年青の常緑という特徴から、長寿や、永遠に続く繁栄といった花言葉に繋がり、長寿を祝い、結婚やお正月などお祝いにぴったりの植物になりました。

それに加えて、薬草という側面から、引っ越しの際、新居にもっていく風習が古くからあり、徳川家康公も江戸城入城の際、真っ先に万年青を入れたという故事にも伝えられます。

植物のありのままを表現するいけばなでも、そんな万年青の特徴を反映して、お正月、結婚、長寿の祝いに飾られます。

おもとは、これらを全部ひっくるめて、縁起の良い植物、幸運の植物と呼ばれています。

 

おもとの生花

おもとの生花    品種大象観(たいぞうかん)

その歴史は600年ともいわれるおもとの生花。平安時代より古くから日本人は花や植物を愛でる文化がありましたが、先祖や仏様神様へのお供えとして成立していきました。特におもとや松のような常緑の植物に神が宿ると考えられ、神の依り代として、常緑の植物が使われました。中でも、京都 六角堂の池坊専慶の花が評判となり、その形、器の使い方など、生花としての型ができてきます。

今では、日本のフラワーアレンジメントととして世界中で習う人も多いです。おもとと同じで、日本独特の価値観で美意識がつくられていて、西洋の価値観の中にない美しさが、こころを打つようです。このおもとの生花は池坊の七種花伝の一つに数えられる、池坊を代表する生花の一つです。

古くから、天福の霊草として庭にも植えられているおもとは、その縁起の良さから、正月を祝う花、結婚を祝う花、長寿を祝う花、と、祝い事に使われてきました。

江戸時代から大象観(たいぞうかん)を使い、濃紺、広く豪快な葉振りを生かしたダイナミックな形を作っていきます。

葉10枚、実1つを、立葉、露受け葉、前葉、流葉と自然の中にあるように立てていき、年中青く枯れることがなく、子々孫々まで繁栄することをおもとを通じて願います。常緑で日本に自生するおもとは、こまめに水を替えれば、正月前から4か月以上もちます。万福の霊草として、日本の文化とともに次世代に伝えていきたいおもとの生花。

おもとの本

『始めよう伝統園芸おもと』の本

B5判 144頁

おもとの品種から最近の培養管理の仕方、おもとの歴史、全国の棚や古鉢・鉢の紹介などを掲載しています。

特に品種について苗や特徴ある芸のアップの写真に完成木と共に紹介しています。
新しい見どころいっぱいの本。

『始めよう伝統園芸おもと』 定価1800円

この10-20年で、気温が大きく上昇し、古い本の栽培法が通用しないことも多くなってきました。暑さに対応した栽培法、管理法について書かれています。また、今までの本では完成木は載っていましたが、若木やその途中の木は載っていませんでした。初心者からベテランまで、多くの趣味者が苗から若親を棚入れし、完成木を作っていくため、苗木の写真も合わせてみることで、自分で鑑定もしやすくなっています。

芸についても、文だけでなく、特徴的なアップの写真を元に解説してあるのでより分かりやすくなっています。

最新の趣味者のお棚を15人、現在は国宝となり決して見ることのできない久能山東照宮の内部(石の間)の万年青彫刻や交配、新品種作成の方法など読み応えのある一冊になっています。

 

裏竜(うらりゆう)

品種逆鉾(さかほこ)

葉裏の基部に甲竜が現われる形の葉を言う。
逆鉾の場合甲竜と鉾を現します。
特徴の現われやすい代表的品種逆鉾 阿波日月・環城楽の図など