黒潮 (くろしお)

分類    薄葉系統  縞甲系
作出年代     昭和20年頃
登録    昭和46年
作出者   吉田善亮(山口県)
命名者   田淵徳  (香川県)
登録者   田淵徳  (香川県)

中型種。濃緑色の葉は至って肉厚で、きめの細かい独特の地合いとなる。襟組実が良く、端正な葉姿となる。葉先まで力強く鋭く尖った広めの葉は中立ち葉となり、盛り上がった雅糸竜に乳白色の大覆輪が現れ、希代の大名品の風格がある。希望者が多いにもかかわらず繁殖がやや少ないため「幻の銘品」といわれていたが、最近は順調に繁殖して人気もますます高まっている。性質は普通ながら繁殖はやや悪い。採光は強めにして、施肥は少なめに栽培すると良い。

黒潮(くろしお) 鉢3.8号  3年生縞甲系中型種。肉厚の葉に、きめの細かい雅糸竜が昇る。葉先が鋭く、甲竜がしっかり現れる特徴がある。

地変わり縞甲竜型。中型種。2才までは葉先が尖って甲竜が現れる程度のものだが、3才くらいから緻密な雅糸竜をのせ太い覆輪をかける。性質は丈夫だが繁殖があまり良いほうではない。

青海波 (せいがいは)

分類    薄葉系統  縞甲系
作出年代  昭和16年
登録    昭和 31年
作出者   兼子琴次  (愛知県)
命名者  溝淵寿吉  (香川県)
登録者   溝淵寿吉  (香川県)

 

青海波(せいがいは) 5年生 中型種。濃緑色の葉は、ほっそりと曲線を描いて気品良く樋葉となって、櫛ですいたような総雅糸竜が葉全面を覆う。乳白色の深い覆輪を現し、折り下げの良い左右の均整のとれた端正な葉姿で、あたかも貴公子の風格で魅了される。性質は至って強く、採光は十分に行い、肥料もやや強めに与えると十分に芸を現す。鉢はなるべく小さなものを使用して栽培すると、葉芸は特に良くなる。繁殖も良好で、子上げも良い。

青海波(せいがいは) 3年生 濃緑色の葉に総雅糸竜で全体を被う。襟組み良く葉姿整う、性質は強健で作りやすい。

青海波(せいがいは) 中型種。細葉に繊細な雅糸竜が現れ、覆輪は白く深く現れ首元を低く折下げ先端はやや垂れます。左右均整良く、高貴な趣があります。性質は普通。繁殖も中。

万年青枯れる

よくある失敗

おもと枯れる原因  肥料

よくある失敗としては肥料やけを起こされる方が多いです。肥料の裏書き通りに施肥すれば安全だと 思い失敗をしてしまいます。普通の草花は枝葉を茂らせ花を沢山咲かせますが、おもとは毎年数枚しか 葉っぱを付けないのであまり濃い肥料は必要ありません。特に化成肥料の場合パンジーなど花を多く付 ける物を目安に設定していることが多いので、同じサイズの鉢でも肥料の要求量はおもとと桁が違います。

濃い施肥をすると初めは葉っぱの緑が冴えて一見順調なように感じることがありますが、肥料やけを 起こしたり、芋が腐ってきたりして夏に急速に枯れてしまうこともあります。

玉肥は鉢の縁側に置き複数置く場合は1週間以上してから反対側に置く、生育期に細く長く効かせ。。

置き肥えなら有機肥料の小さめの玉肥えを一粒ずつ時期をずらして置いたり、液肥なら規定量の半分 以上薄めたものを、いずれもおもとが活発に生長している期間のみ与えるのが無難です。

おもと用に長年使われている有機肥料早く効き、 薄めれる液体肥料と長く効く玉肥。玉肥は鉢の縁側に置き複数置く場合は一週間以上してから 反対側に置く、生育期に細く長く効かせる

おもと枯れる原因  水遣り

2例目として水やりの塩梅が分からず弱らせてしまう方も居られます。水やりは鉢の芯が乾かない程 度のタイミングで抜き水をすれば大丈夫です。注意したいのは、桜の咲く頃から梅雨までは葉の付け根 から新根がおりる時期です。ある程度の深さまで伸びきる前に乾くと、新根が止まり来年からの出来が 悪くなってしまいます。風により表面だけ早く乾いてしまう場合もあります。そういった場合は振り水 と言って表土が湿る程度の水をあげる方法で対処すると良くできます。

潅水の時期 表土の富士砂の色変わりで換水の目安を見る。楊枝、竹櫛を抜いてみて湿っているか確かめる。

環境や植え込み材料などで漼水の間隔は違ってきますし、観察してみると元気に生長している鉢ほど 乾きが早くなっているはずです。乾燥すると根止まりしてしまいます。が伸びるまで養生しましょう。

日光と温度変化も気を付けたいですね。蛍光灯のみの自然光の入らない部屋で管理すると、徒長させ たり、植物には強すぎる冷暖房の風で弱ってしまうこともあります。弊園では外に置き、季節により可 動式の寒冷紗1・2枚で日光を制御しますが(真夏で75%遮光)寒冷紗張りっぱなしでも構いません、鉢 数が少ない場合木陰や家の北側などの明るい日陰に置き管理すると良いでしょう。

日差しがきつくよしづをのせる。8月3日

明るい部屋でも冷暖房を付けられる方は直接の風が当たらないようにするか、その期間だけ外の日陰 にだして管理することをお勧めします。

この点さえ押さえれば、おもとはうまく育てられます。

肥料と水と日

おもとは、1年に出る枚数はほぼ決まっていて、大黒殿や白鶴など葉の良く出る細葉タイプのおもとで3〜6枚、広葉の力和や新生殿ですと2〜4 枚の葉がでます

しっかり葉を出させるには、肥料と水と日を適度に与えることが必要です。肥料や水は、与えすぎればおもとが弱くなり倒れやすく、日は強すぎれば葉やけや葉が凝ってしまいます。(凝る葉が 固まってしまい、新しく葉が出にくくなる葉の 伸びが悪くなる)。おもとが凝ってしまうのは、灰汁のやり過ぎでも起きます。

また、水切れを起こすと、発根や、根の伸びが止まり、成長が遅くなってしまいます。肥料切れ を起こすと、葉巾が狭くなったり、葉色が薄くなります。日が弱いと、徒長し、首も細いひょろり とした貧弱なおもとになってしまいます。人それぞれ、お棚の状況は違いますここに、水遣り三年(10年?)と言われる難しさ と面白さがあります。その状況で良くできる水やりと肥料、日の与え方を天気を見ながら、おもと と話しておもとに教えてもらいましょう。

やり過ぎより、7分目

いっぱい、いっぱいまで水や肥料をやれば、葉数も多く、広葉のよい葉が出てきます。ですが、気 候がいつもより高くなったり、長雨がつづいたり すると状態が悪くなってきます。全国大会や地方 大会で上位を狙おうと思えば、その年に勝負でぎりぎりまで肥料を置くこともしますが、倒すのも 覚悟の諸刃の剣。何事も7分目でやれば、気候の大きな変化が来ても安心。今年伸びなかった分は来 年楽しもう、と懐深くおもとと付き合ってみては どうでしようか。

消毒について

おもとを、綺麗に作りたい、また、病気にかからないように作りたいと思えば、消毒をしっかり やらなければなりません。基本を押さえて失敗し ないようにしましょう。

農薬を散布する時間帯、天気 日が強い時、植物は根から沢山水を吸い上げ、蒸散します。この時消毒をやってしまうと、薬の 吸い過ぎで薬害が起きてしまいます。葉が縮んだ り、不自然な落葉します。消毒を行う時は、天気 の良い日は避け、曇りの日や夕方に行いましょう。 雨の日では散布した消毒が雨で流れやすく効果が なくなります。展着剤も忘れずに混ぜましょう。 説明書をよく読んで

農薬は、濃くても薄くても効きません。濃ければ薬害がでますし、薄ければ病原菌の防除はでき ません。説明書をよく読み、きちんと倍率を守って使ってください。

農薬の種類

おもとの病害虫ごと にいくつかの薬剤があります。同じものばかりを 使っていると病害虫に抵抗性ができますので、数 種類交互に散布すると効果的です。

  • 「赤星病タンソ病」ベンレート水和剤、ダコ ニール1000水和剤など
  • 「スリップス•カイガラムシ」カルホス、スミチオン
  • 「なめくじ、かたっむり」 ナメカットもし出てしまった場合・・・早めの対処が一番です。胞子の飛散を防ぐために、その周りを切除して、 その病気のついた葉を焼却、廃棄してください。 広がることを抑えるため、消毒を行ってください。病気かどうか分からない時は、そのおもとだけ 場所を替え、他に接触をしないようにしましょう。
  • 植え替え時の消毒
  • 春秋の植え替えの時期、植える前に消毒に浸け、 おもと全体を殺菌消毒することができます。この 時、高温の季節、長時間(温度の高い時は5分以上) つけると、根が薬を吸い過ぎて薬害が出てきます。 短時間だけ浸けるようにしましょう。

神戸おもとを楽しむ会

おもと 神戸 展示会

とき 2018年12月1日(土) 午後9時~4時
12月2日(日) 午前9時~3時45分                                            ◎13時~15時まで無料講習会

ところ 神戸市諏訪山公園内 花と緑の町推進センター
(諏訪山緑の相談所) ℡078-351-6756
神戸市中央区諏訪山町2-8 下に地図 
  主催 神戸おもと会

公益財団法人神戸市公園緑化協会  花と緑のまち推進センター

入場無料

おもとの趣味としての雰囲気を少しでも
皆さんに知ってもらいたいので
初心者の方もお気軽に足を運んでみて下さい

豊明園によるおもとの展示即売あり
引越しおもとや羅紗など

◎13時~15時まで無料講習会 大勢の参加者の皆さまありがとうございました。又来年度も行います。

皆さん熱心に ご自分で植え付け。

入り口の花壇

神戸市諏訪山公園 地図

会場には、豊明園即売所もあり、
1000円の丈夫なおもとから高級品まで
取り揃えています。
ご注文ありましたら金曜までに御連絡ください。

神戸おもとを楽しむ会 に関するお問い合わせ
連絡先 豊明園 電話  0564-51-4714
Eメール  omoto@houmeien.co.jp

黄金宝 (おうごんたから)

分類    薄葉系統  黄色実
作出年代     不明
登録    不詳
作出者   不詳
命名者   不詳
登録者   不詳

黄色実おもと

黄金宝(おうごんたから) 5年生 鉢6.0号
来歴 富士山麓裾野に自生している物を見つけ繁殖。観賞親 寒さが近づくと実が黄色に色づく。江戸時代の文献に記載されています。黄色実おもと

黄金宝(おうごんたから)  8月24日 実は葉と同色、膨らみ始める。

黄色実おもとの実は5月6月頃に花が咲きます、7月頃から膨らみ、暑い時期は緑色です。少し涼しくならないと黄金色に変わりません。霜に当たるようになると真っ黄色になります。

黄金宝(おうごんたから)  11月16日 実は大きくなり色が少し変わる。この時期から寒さに当てないと黄色く変化しません。

黄金宝(おうごんたから)  12月28日 実は黄色に 寒さに当たり黄色く変化。

黄金宝(おうごんたから)  12月31日 実は黄金色 寒さに当たり黄色く変化。

風水 幸福を呼ぶ福おもと  丈夫で作り易い、繁殖特によい。露地植え可

黄金宝(おうごんたから)   実は黄金色 寒さに当たり黄色く変化。

富士山麓裾野に自生している物を見つけ繁殖。観賞親 実が黄色に色づく。

風水 幸福を呼ぶ福おもと  丈夫で作り易い、繁殖特によい。露地植え可

 

光琳 (こうりん)

分類    薄葉系統  縞甲系
作出年代     昭和30年頃
登録    昭和54年
作出者   不詳
命名者   樋口重蔵 (東京都)
登録者

 

光琳(こうりん)7年生 5.5号鉢
縞甲竜系。地変わり縞甲竜型。中型種。濃い緑色の艶のある地に、黄色みかかった覆輪が深くかかる。葉先は鋭く尖り、葉肉はやや厚め。甲竜、緻密な雅糸竜が現れ、上品な感じの品。

光琳(こうりん)7年生 5.5号鉢
光線を良く摂ると雅糸竜が黄金色に輝きます。濃紺緑色の厚葉に白覆輪を現し雅糸竜は黄金色に輝きます。性質は普通品種繁殖は芋吹き。

金剛海 (こんごうかい)

分類    薄葉系統  縞甲系
作出年代     昭和29年
登録    昭和54年
作出者   谷口徳三郎 (福島県)
命名者   内野舜二 (神奈川県)
登録者   増島松蔵 (神奈川県)

中型種。若木のうちは葉幅はやや広いが、親木になると樋葉となつて狭くなる。葉姿は品の良い中立ち葉となり、やや葉先の尖った、純然たる地変わり縞甲竜である。やや黄色みのかかった覆輪を現し、葉全面に細かい櫛ですいたような雅糸竜があらわれ、葉の中央には高い甲竜も現れる。性質は強健、採光は十分に、施肥は普通。

金剛海(こんごうかい) 4年生 3.8号鉢

万年青の育て方 12月 岡崎

万年青の冬 岡崎 豊明園 栽培管理

自然の移ろいにしたがって、寒くなれば寒くなったように、オモトにも、少しは寒さを知らせてやります。

豊明園第二温室  天窓 東・南の窓は全開の状態で管理  12月5日

外の培養所 ビニールで霜よけ 潅水の間隔5日目  12月5日

12月おもとの過保護は禁物で、昼夜の温度差は15度前後までに管理、冷たい西、北風に吹きさらすと葉が傷んで弱りますから風囲いをして下さい。-3℃までは心配は要りません。
(露地植えのオモトは少し葉が垂れますが、春になると元気になります。)

第一温室の前側は防風ネットを張ってあります。  12月5日

オモト 福の光(ふくのひかり) 根っこ、元気よく。12月9日

オモトの実色づく 12月11日

あまり早くから室内に取り入れたり、暖房のきいた部屋に置いたりしますと、オモトが軟弱になってしまいます。とはいつても、凍らせてしまったり、寒い風に吹きさらしたのでは、オモトは傷んでしまいます。

オモトの実そろそろ実を切り保存する珠紅色 品名を書いて新聞紙に包み保存(あまり乾燥させないこと・冷暗所)

潅水

水やりは、晴天の日の午前中に一回やり、風で乾くようであれば一振りサッと振り水をしておきます。早朝や冷え込みの厳しいときは水やりを避け、外気が上昇して暖かくなってからにします。

水やりは外気の温度が上がってから10時前後又は午前中が良いです。
早朝や夜遅くなって冷え込みの厳しい日の水遣りは避けて下さい。
東海・関東地方では目安として混合砂上の場合3日から4日目に水遣り。
朝明砂単用の場合2日目に水遣り。
ポイント
中の用土が湿っている状態、水遣りの間隔をあける。 少し表土が乾いてから水遣り。

採光

柔らかい午前中の採光をしています。12月19日

雪の多い地方では、充分な採光もできませんが、オモトはそれでもよく育っています。このことを思えば、あまり強い光線はこの時期に必要ではないようです。

紅流し 寒さに当たると葉脈が紅をさす。12月19日

防風

寒いときはビニールとよしずで寒さよけ。12月13日

関東から西の地方で、まだ、屋外の棚に出したままの所でも、寒冷紗や防風ネットで囲いだけはしたほうが良いでしょう。強い北風が吹きだしたら、寒冷紗では防ぐことができませんから、屋内に取り入れます。

冬の寒さ対策

防寒

不織布で覆う、夜間しめて湿度を保ちます。12月24日

寒冷地を除いて、とくに、暖房の必要はありません。関東から西の地方はでも、中旬になりましたら夜間は室内に取り入れます。北の地方で温室を利用されるときは、日中の温度があまり高くならないように、窓を開けるなどして換気に注意します。もし暖房のきいた部屋に取り入れる場合は、高い温度と乾燥に注意しなければなりません。

おもとの耐寒性

おもと葉垂れる 対策

葉が垂れる場合新聞紙で覆う、又棚下、地面に近い場所に移す。

 

施肥

必要ありません。

気温が高い場合は根が動いているので液肥を行います。

おもと 豊明園 第一温室 12月24日

病害虫の予防と駆除

温室の中では、病気も害虫も遠慮なく活動しますから注意します。

賀松 (がしよう)

分類   実親系統 千代田斑
作出年代 昭和年
登録   昭和年
作出者  志賀孝司(愛知県)
命名者
登録者  日本萬年青実生研究会

千代田斑の生える実親幻の千代田羅紗「栄松」を生やした親木。濃緑色の葉
実付き子上良い品種。ふっくらした葉型素直な姿で葉巾も広い、この木を自家交配、他家交配でも一攫千金の宝くじを楽しめます。千代田羅紗は交配の中でもダントツに難しい確率は皆さんご承知の通り。千代田の確率、また、その中で羅紗がでる確率なので交配の最高峰といってよいでしょう。その中でもかなりの確率を期待できます。

8月4日の写真 実が膨らみ濃緑色の艶のある姿になる。

賀松 2年生

 

1月14日の写真 『賀松』 千代田の実親

相手次第で千代田羅紗をはやす。千代田斑美しい実生が生えやすい。それにしても、こんな紺地の強いおもとから千代田がはえるのは不思議。千代田の実親はほとんどがこのような紺地のおもとです。1月に入り実の取る時期になりました。

生えの柄

松谷千代田 (まつたにちよだ)

分類   実親系統 千代田斑
作出年代 年
登録   昭和年
作出者  松谷正太郎 (東京都)
命名者
登録者  日本萬年青実生研究会

松谷千代田(まつたにちよだ) 10年生 鉢8.0号
実親 交配を行う事の目的に使う又観賞用にも。

安政4年に生えた『根岸の松』が母体となった『松谷千代田』という実親から明治末期には『千代田の松』が生まれています。松谷氏が根岸の松を交配して作出した実親

濃緑色の厚い葉に二面竜・雅糸竜・甲竜を現す。
実付き特に良く、種子を蒔くと千代田斑の実生が生える。千代田系の銘品が多く作出されます。おもに共交配が多い。10%前後の確立性質は強健で作りやすい品種です。

 

実親・松谷千代田は、明治時代に東京浅草蔵前のおもと趣味家、上総屋・前田源太郎が華族・松平某夫人愛倍の根岸松の青葉の割子を譲り受け、培養を重ね改良を加え、そのうち青葉であるが竜のあるものを一本得、これを実親として大切に育てた。それには、もちろん根岸斑のあるなにかが生えるという思惑があったことであろうが、のちに故あってやむを得ず他に譲渡してしまった。

松谷正太郎はこのことをたいへん残念に思い、一つにはおもとの師である前田源太郎のために、また一つには彼自身のためにも惜しみなく大金を投じ、これを引き取った。
その後、肥培し結実させては種子を採り、播種を続けるうちに、明治39年になって実生逸品を得た。この実生を「千代田の松」と名づけ誇りとした。しかし、これは一本も繁殖することなく惜しくも枯死してしまった。そして、大正元年に新たに生えた実生に、再び千代田の松と名づけた。

大正7年、初めて千代田の松の芋吹きを得、その年これを愛知県の高須七郎に金壱萬円で譲渡した。いかに大正成金が輩出したときとはいえ、かたや米価の騰貴による米騒動が全国を席巻していたときのことであるから、世人が驚いたのも当然のことである。

千代田の松を生んだ実親からその後、生まれたものに宝田の松、祝田の松、日出の松、御賜の松、があり他に瑞穂の松、三光の松、千歳の松などいく種かの逸品が生えている。絶えてしまった実生もあったようであるが、年々生える実生で残しておいたものは、千代田の松が生えた時の姿を基本として、これに劣るようなものは惜しげもなく切り捨てたというから、その数は非常に少ない。それでこそ一連の千代田斑系のおもとに王者の風格が保たれたのである。