おもとの置き場所 細長い葉がでるのはなぜ?徒長葉

おもとの置き場所 細長い葉がでるのはなぜ?

日が弱いと徒長してしまう

夏場のお客様からの質問で多いものが、細長い葉がでてしまう、というものです。細長い葉ってなんだろう、とよくよく聞いてみると、去年の葉は葉巾が広かったのに、今年は葉が細く、ひょろひょろとした葉しか出ない、なぜだろう?という質問でした。

この問題の一番多い原因は、日が弱いので徒長してしまった、ことです。日が弱いと万年青が光を求めて上に上に伸びようとして、もやしの様に伸びて徒長してしまいます。

 

置き場所、日当たりの実験

私たちが趣味の山野草さんで【伝統園芸 万年青】の本を書いたときに、実験をしましたのでご紹介します。

まず結果を見てみましょう。

写真のように、6/15まで同じようにお多福を育てました。年数、根や葉の数、状態がほぼ同じものを揃えました。

 

こちらを、左から、日の強い場所、中間、一日に1時間ほどしか日の当たらない日の弱い場所にそれぞれ置き、約ひと月半育てました。

7/24、約ひと月半後の状態がこの写真です。

左から、日の強い場所、中間、日の弱い場所。

これだけみると右側の日の弱い方が大きくなっていていいじゃないか、と思われるかもしれませんが、今回はそうかもしれません。

ですが、右の万年青のように、陽が弱いと光を集めようと葉肉も薄く幅広の葉を出し、上に伸びるふわっとした柔らかいおもとになってしまっています。金属を薄く広く伸ばすイメージでしょうか。葉肉が薄くなった分、強い風や虫などにも弱くなりますが、もやしのようにひょろひょろでなければ、ある程度は問題ないですね。

日の強いところ、中ぐらいの日の強さではあまり変わらないですが、葉が厚く、緑も濃く、短く横に伸びているのが分かると思います。

 

お次は瑞泉です。

こちらは、右が日をしっかりと取った株、左は日が弱いので

細く上に伸びる葉しか出てきていません。

今回は、葉だけでなく根も見てみましょう。

根を見ても、右は日がしっかりと当たっているので光合成も盛んで、水の吸い上げのために根張りまで良くなっていますが、

左の日の弱い方は、日が弱いため水の吸い上げもそこまで必要なく、根張りも弱くなっています。根自体もそこまで必要ないということですね。

日が弱いと、どうしても上に細い葉がでてしまうことが分かると思います。また、日が強いと、葉の長さは短く、葉幅は広くなります。今の場所で日は十分ということで、むやみに葉を伸ばさなくなります。

これよりもっと日が強くなると葉焼けをしてしまいますし、左の日の弱いものよりもっと日が弱いと、最終的にはもやしの様に緑も白に近くなり、薄い緑でもっとひょろひょろの葉になっていきます。

 

おもとは明るい日陰が好きな植物ですが、完全な真っ暗ではやはり植物なので光合成ができず育ちませんし、直射日光が一日中当たると、日が強すぎて弱ってしまうので、皆さまのお棚で、また部屋の中の出窓で、万年青に良い場所を探してあげてください。

 

実験 矢筈獅子

矢筈獅子の実験

こちらも左が日が強く、右が日が弱い場所でひと月半育てました。

どれも順調に伸びています。

左側の日当たりの良いもの、真ん中の日当たりの普通のものは、がちっとした作に。右側の日が弱いと、葉自体の色が薄くなることがあります。

陽が強いと葉肉厚くなり、葉幅が狭くなり、緑と矢筈柄の境がはっきりとします。また、獅子の巻きは弱光の方がよいです

 

実験 瑞泉

瑞泉も同じ実験をしてみました。

下葉は同じように枯れてきています。

葉の伸びはどれもいいですが、右の日が弱いものは緑も薄く、徒長気味に伸びています。

日が強いと、子も出やすく、葉色も緑が濃くなります。

 

 

実験の場所の紹介

左の置き場所

外棚(屋外の棚)で、日中陽当たり良好。

夏は75%遮光

風通しよい

肥料は多めに

 

作りやすいおもと

羅紗、縞甲竜系統など葉の厚いもの

柄物ははっきりと現れる

 

 

 

真ん中の置き場所

温室内で午前中75%遮光、午後日陰

風通し普通

肥料は普通

 

作りやすいおもと

薄葉、大葉

柄物もはっきりと現れる

 

 

 

右の置き場所

室内の窓際で西日が1時間ほどの陽当たり

風通し悪い

日が少なく消化できないので肥料は少なめに

夜間に外に出せれば尚よし

 

作りやすいおもと

薄葉や大葉の葉の薄いもの

柄がぼやけることがある

 

実験の場所の紹介

一番左側に置いてあった 日の強い場所 外棚

外棚は陽が強いので、どれも葉が厚く覆輪も深くなり、がっちりとした姿になっています。水の乾きは一番早く、1~3日に1回程度の水遣り。

 

真ん中に置いてあったのは、温室の中

正午からの日は入らない、明るい日影になります。

この場所はどの品種でも作りやすく、管理も楽。柄も秋になればしっかりと固定してきます。

 

 

 

こちらは、写真の右側においてあった

室内で、西日が1時間だけあたる場所で育てていました。

室内では、他と比べて陽当たりが弱いので、お多福は徒長気味に。矢筈獅子では葉幅が広くなりますが薄い葉に。できることならもう少し陽の当たる南側、東側に置けると良くなります。締め切ることも多かったので葉数の少ないものもありますが、夜間は外に出したり、昼間に締め切らず風を通すことで葉数も多くなり 良い作になるでしょう。水も多すぎたようで、3日から10日に1回の水遣りで良いです。

 

ご自分のお棚環境はいかがでしょうか?名作者さんもすべてがよい環境のお棚ではありません。それぞれの棚の特徴を掴んで、おもとの魅力を引き出してあげましょう。

 

まとめ おもとの置き場所 細長い葉がでるのはなぜ?

その年に細長い葉がでるのは昨年より日が弱く、徒長している証拠

日が弱いとき、光を集めようと葉肉も薄く細長い葉になり、葉の色は薄くなります。獅子系は日が弱い方が巻きが良いです。

日が強いと、葉肉厚く、がっちりとした葉になり、葉の色は濃いです。羅紗系は芸が良く出るでしょう。根張りもよくなり、乾きも早いでしょう。子も出やすいです。

日が強すぎると葉の色は逆に薄くなっていき、焼けてしまいます。

日が弱すぎると、もやしの様に徒長した細長い葉、緑ではなく白っぽい葉がでてきます。

 

●動画解説【万年青の育て方】おもとの置き場所 細長い葉がでるのはなぜ?徒長 日の強さで万年青はどう変化するのか

【万年青の豊明園】【Spindly Growth】

↑葉の長さが同じで、細い葉がでるのは肥料不足か、品種の特徴です。

 

 

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