おもとを長く楽しむための最初の30日
萬年青は、新しい環境にゆっくりとなじませることで、長い年月をともに楽しめる植物です。
届いてから最初の30日は、次の七つを基本に育てましょう。
1 届いたら、たっぷり水を与える
開封したら、鉢底から水が20秒以上流れ出るまで、たっぷりと水を与えてください。
霧吹きで用土の表面を濡らすだけでは、鉢の中や根まで十分に水が届きません。水やりは、鉢全体に水を通すように行います。
2 直射日光の当たらない明るい場所へ置く
まずは、強い直射日光の当たらない明るい場所に置き、新しい環境になじませます。
特に夏の強い日差しや、西日が長く当たる場所は避けてください。
玄関などの日光が少ない場所に飾る場合は、数日から1週間ほどを目安にし、その後は明るい場所へ戻しましょう。
3 用土の乾き具合を見て水を与える
毎日決まった量を与えるのではなく、用土の乾き具合を見て水やりをします。
水を与えるときは、鉢底から水が流れ出るまで、しっかりと与えてください。受け皿にたまった水は、そのままにせず捨てましょう。
葉への霧吹きは、ほこりを落としたり、葉を潤したりする補助にはなりますが、根への水やりの代わりにはなりません。
4 風通しを確保する
葉や鉢のまわりの空気が、ゆっくりと入れ替わる場所が理想です。
閉め切った部屋や、高温多湿で蒸れやすい場所に長く置くことは避けてください。
冷暖房や扇風機の強い風を、直接当てる必要はありません。強い風を当て続けるのではなく、空気が穏やかに動く環境を整えましょう。
5 肥料と植え替えは、急がなくて大丈夫
お届けしたおもとは、すぐに植え替えなくても、通常は1〜2年ほど育てられるように植えてあります。
まずは、新しい環境になじませることを優先してください。 肥料も、届いてすぐに多く与える必要はありません。植え替えを行う場合は、春または秋が適期です。
6 暑すぎる環境を避ける
30℃を超える環境は、萬年青に適しているとはいえません。
しかし、近年の夏は非常に暑く、私たち豊明園でも、40℃近い気温のなかで2か月前後育てることがあります。
日中の気温が高くても、夜の気温が25℃を下回れば、萬年青は何とか元気を保つことができます。
一方、夜になっても30℃前後までしか下がらない日が続くと、株が休むことができず、下葉が落ちたり、根が傷んだりしやすくなります。
暑い時期は、よしず、すだれ、遮光ネット、寒冷紗などでしっかりと日よけをします。
水は、用土がよく乾いたことを確かめてから与え、鉢の中がいつまでも湿ったままにならないようにしましょう。高温の時期ほど、水を切らさないことと同時に、鉢の中を蒸らさないことが大切です。
7 寒さと寒風から葉を守る
萬年青は、寒さに非常に強い植物です。
ただし、株が寒さに耐えられることと、美しい葉を保てることは別に考える必要があります。
霜に当てたり、0℃以下の温度に長くさらしたりすると、葉が寒さで焼け、傷跡が残ることがあります。
また、低温の時期に寒風や強風に当たると、葉から水分が奪われ、葉先や葉の縁が赤く焼けることがあります。
寒風による乾燥の被害は、地域によってはゴールデンウィーク前後まで起こります。特に白い斑の多い品種は、葉が傷みやすいため注意してください。
冬は、軒下や風の当たりにくい場所に置き、霜と強い寒風を避けることが、美しい葉を保つポイントです。
栽培記録は、万年青への愛情の足あと。今日の一枚が、数年後の宝物になります。
★万年青を迎えたら、ぜひ栽培記録を始めてみてください。
まずは購入時の姿を写真に残し、その後も3か月ごとで良いので同じ角度で撮影を続けると、成長や小さな変化がよく分かります。
ご相談の際は、購入時と現在の写真をお送りいただくと、より適切なアドバイスができます。
あわせて、植え替えや施肥、置き場所を変えた日などを簡単に記録しておくと、今後の管理にも大いに役立ちます。
なぜ、この育て方が必要なのでしょうか
おもとが元気に育つためには、
根が呼吸できること
根が水を吸えること
葉が光合成できること
この三つが大切です。
水を与えない→ 根が乾き、水を吸えなくなります。
霧吹きだけで、用土の表面を濡らす→ 鉢の中や根まで水が届かず、根が水を吸えません。
鉢を水に浸け続ける→ 鉢の中の空気が少なくなり、根が呼吸できません。やがて根が傷み、水を吸えなくなります。
肥料を多く与える→ 根が傷み、水を吸いにくくなります。
強い直射日光に当て続ける→ 葉の温度が上がり、葉焼けや乾燥の原因になります。
真っ暗な場所に置き続ける→ 葉が十分に光合成できなくなり、株に蓄えた力を使い続けます。
風のない蒸れた場所に置く→ 鉢の中が乾きにくくなり、根が呼吸できず、傷みやすくなります。
夜も気温が下がらない暑い場所に置く→ 株が夜間に休むことができず、下葉が落ちたり、根が傷んだりしやすくなります。
霜や冷たい強風に当てる→ 株が枯れなくても、葉が寒さや乾燥で焼け、美しさを損なうことがあります。水や光、温度は、少なすぎても多すぎても、株が弱る原因になります。
特別なことを増やすよりも、根と葉が無理なく働ける環境を整えることが、萬年青を長く美しく楽しむ基本です。
