天光冠  (てんこうかん)

分類    羅紗系統
作出年代  明治31年
登録    昭和  9年
作出者   蔦屋(愛知県岡崎)
命名者   水野淳治郎(豊明園初代)
登録者   日本萬年青連合会

品種紹介 天光冠 てんこうかん Tenko-kan

天光冠の生誕、120年を記念して 2018/8/15

大正七年三月蔦屋氏から水野淳治郎が見出した実生(天光冠)3.3号の古鉢(五竜)に植え込んであります。化粧土で飾り首元に青苔につつまれ美しい姿を見せています。

 

『天光冠』来歴
 明治三十二年頃、岡崎市中町「蔦屋」にて自然交配(褥錦と二面甲龍ではないか?)の実生よりできた物である。当時は「蔦屋実生」と言い、希望者多く、当時の大御所京都の大辻久一郎氏が五百両の値段をつけても売られなかった。五才になっても葉姿、地質は抜群であったが龍を現さないため、蔦屋の主人もとうとうあきらめ、水野に売ることにした。
水野はその実生を碧海郡福桶村(現岡崎市)の旧家、愛好家、福博さんに、来年五月頃に必ず龍を現すからと言って、保証付きで売却した。福博さんは龍が出るのを楽しみに毎日眺めていました。四月、五月と新芽が伸びてきても龍を現さない六歳の五月末二枚目の新芽に龍が見えてきた。
福博さんは早朝人力車を呼び、水野宅へ報告に出かけた、水野も五月末になってきたから龍が現れそうな予感がして人力車を呼び福博さんの家へ出かけた。途中で両者ばったり出会い喜び祝い会った。(神様のおつげではない?)
その後福博さんが培養の失敗で少し傷みが入り失望されていたため水野が買い受け。

 碧海郡六ッ美村村長、黒柳善蔵氏に売却(当時黒柳さんはおもと病院と云われるぐらい傷み木を治療する名人でした)幸いに傷みが治り、殖え芽ができたので、水野と黒柳氏と相談して『天光冠』と命名。
時の名作者名古屋市の恒川鈴太郎、榊原八曽松氏へ買い取られ、現在まで萬界の最高貴品として愛されている。

天光冠 (3.3号鉢)
1年目の若木丸どめの葉に覆輪がすこし回っている。

 

天光冠 (3.5号鉢) 3年目本芸を少し表わし始める

天光冠 (3.8号鉢)
5年目姿が整い本芸を見せる。若いときの優しい葉の地合とはうってかわり、龍がのり、力強く変化してくる。葉は濃い緑色で葉肉厚く、純白の覆輪が深くかかり、葉先はふつくらと丸みをもっている。葉芸は雅糸竜が主体で、雅糸竜が出るのはやや遅く、5歳ぐらいになってからのこともある。容姿はやや立ち葉で葉繰り、襟組みともに良く。直線的で均整がとれ、気品があり、おもと美の本質を充分発揮する。オモト四天王の一つ。性質はやや弱く、繁殖は普通。採光は強めに管理する。

天光冠の根っこ

2018年6月13日取材で伺う。 大好きな『天光冠』。毎年全国大会入賞の常連さん。昔から大変思い入れのある品種です。風通り良く空中に吊るす。

親木から子が伸びてきた様子の写真です。『天光冠』 大きさは、一枚の葉が6cmほど。手のひらにのるおもとの、羅紗おもとです。小さな可愛い子供があがってきました。この子どもが株分けできるようになるのはだいたい1年かかります。ゆっくり、ゆっくり大きくなってきます。

『天光冠』の親 5才前後でしょう。2009年5月31日秋には美術木になりそうです。

 

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天光冠(てんこうかん)
左の二株は一作物、右の二株は二作した物。
二作かけたものは根張りが良くなっています。用土はパミス、矢作砂の混合です。炭とゼオライトが混ざっています。羅紗系統は昔から朝明砂か矢作砂単用で植えていましたが最近では混合にして灌水の間隔を明けています。花崗岩の砂利を使うと枝根が多くなります。用土は自分の灌水方法に合わせて出来るように混ぜて作ります。ベランダの方は鹿沼土や赤玉、日向土をまぜるのも方法です。乾き方がずいぶん変わってきます。変えた時は用土を良く観察してみる事です。
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天光冠(てんこうかん)
枝根が多くなり元気にしています。赤い葉は植え替え時に取り首元を筆で洗います。
おもとを良く作るには用土や水遣りの間隔、肥料の与え方、特に肥料は有機質の固形肥料主体にすることです。
油粕の古典肥料やスーパー1(有機質の液肥)です。おもとは3年ぐらいたたないと成果が分からないものです。即効性の化学肥料は良く効きますがおもとの生育に合わないので良く失敗される方が見えます。答えは3年たつと現れます。

 

 

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天光冠

明治の、豊明園初代が魅入られてから、常に三河で愛されてきた品種です。全国にも愛好者が多数。(新潟村上の高橋様も素晴らしいものを毎年作られています)
姿が、若木から親木で大きく出世し、親木の素晴らしさは抜群。芸が出るのに時間がかかり、美術木を作るにはベテランでも難しい。そこに魅力があるのかもしれません。
これからもおもと界の一角をになうおもとでしょう。

 

 

おもとの豊明園

旧HPの品種解説 天光冠