おもとの生花 品種大象観(たいぞうかん)
その歴史は600年ともいわれるおもとの生花。平安時代より古くから日本人は花や植物を愛でる文化がありましたが、先祖や仏様神様へのお供えとして成立していきました。特におもとや松のような常緑の植物に神が宿ると考えられ、神の依り代として、常緑の植物が使われました。中でも、京都 六角堂の池坊専慶の花が評判となり、その形、器の使い方など、生花としての型ができてきます。
今では、日本のフラワーアレンジメントととして世界中で習う人も多いです。おもとと同じで、日本独特の価値観で美意識がつくられていて、西洋の価値観の中にない美しさが、こころを打つようです。このおもとの生花は池坊の七種花伝の一つに数えられる、池坊を代表する生花の一つです。
古くから、天福の霊草として庭にも植えられているおもとは、その縁起の良さから、正月を祝う花、結婚を祝う花、長寿を祝う花、と、祝い事に使われてきました。
江戸時代から大象観(たいぞうかん)を使い、濃紺、広く豪快な葉振りを生かしたダイナミックな形を作っていきます。
葉10枚、実1つを、立葉、露受け葉、前葉、流葉と自然の中にあるように立てていき、年中青く枯れることがなく、子々孫々まで繁栄することをおもとを通じて願います。常緑で日本に自生するおもとは、こまめに水を替えれば、正月前から4か月以上もちます。万福の霊草として、日本の文化とともに次世代に伝えていきたいおもとの生花。