愛国殿 (あいこくでん)

分類    羅紗系統
作出年代  昭和5年
登録    昭和9年
作出者   不詳
命名者   水野淳治郎 (豊明園初代)
登録者   水野淳治郎 (豊明園初代)

羅紗系統 中型種
濃緑色で、葉先尖り襟組み良い葉は均整がとれ見栄えがする
採光・肥料は強め丈夫で作りやすい。

昭和9年に水野淳治郎が「愛玉殿」「愛国殿」「愛晃殿」の三品種を登録し、「三愛」のふれこみで人気が急上昇、確固たる地位を築いた。三品種に共通することは片繰りしない端正な。葉姿である。

 三河の蘭萬   昭和八年八月弐五日 掲載記事

萬年青の珍貴品 愛國殿天下無比の好評

去る日萬年青界の巨頭水野淳治郎氏を岡崎驛前の自宅に訪ふて棚を視る。屈指の栽培家だけあって多数貴品あるも一本として見悪きはなく立派な作榮である。就中一種小型にして羅紗地の縞覆輪に葉繰り至て見事に二十枚を有し貴品多数のなか抜群たる優美なること恰も群れ雀中え鶴の立てるが如き感があった。直に園主水野氏に對し該種の品名及系統を問ふに之れ即ち愛國殿の珍稀品である。
水野氏曰く核種は羅紗の覇王と謂て憚らさざるものと信し最近手に入れた稀品で御承知の通り近来羅紗物の呼聲高く羅紗物観賞時代は遠からんことと思う。明治十五年頃彼の天光龍と云ふ貴品が整理公債一萬二千圓(正金一萬圓相富)にて取引せられたることがあると萬界の長老石川六兵衛などがよく御承知の事であるが丁度比愛國殿が天光龍に等しく愈々羅紗物時代となり二,三年後には必ずや一萬圓突破の聲を聞くものと信じ譲り受けたので棚に納まるを得たるは全く天祐と喜んで居る次第で愛晃殿。愛玉殿。愛國殿此の三種を三勇士と稱し居り其の第一位である。
一度水野氏の見込みを付け愛培せられたる品は必ずや人気の昇騰は従来斯界者の知ることで過去の形跡と該品の優美なる点等よりして遠からず最高稀品として取引せらる時期あるを聞く。

三河の蘭萬    昭和八年八月弐五日 掲載記事

三河吉田の萬年青陳列 土用會

三河幡豆郡吉田町の同好者主催三河園囈組合後援の土用會は八月五日吉田町料亭千丈館に於て開催せられたり。
出席者は遠く東京の鈴木菊三郎氏、島村氏、浜松の石田要次郎氏、小林常吉氏、九州の伊藤八郎氏、愛知縣下に於ては大日本萬年青聯合會長石川三之助を始め三河園囈組合副組長畔柳善蔵氏、其他一流の同好者合いして百余名に達す暑中のことにて来會者は早朝より参集夫々設けの台上に出品物を陳列、出品の主なるは輝鳳冠、玉獅子、日月星、實生等何れも人気高く盛に取引行はる。正午中食萬界の巨頭水野氏より印入タオルの寄贈あり尚全町屈指の紅裙数名の給仕に一入熱を加え何所も扇の白波を立て遂に歌う聲、舞う音も聞く取引も此間間断なく行われ極めて盛會に益々好况気分を示し午后四時盛會裡に散會したり。

当時の取引価格

地球宝 奴吹き48円  玉獅子虎 二歳6枚葉50円 輝鳳冠吹二枚 25円

根岸の松 七枚葉12円 日月星 二歳四枚葉 15円 玉獅子吹二枚 15円

金紫殿 吹二枚30円  長寿楽二代吹き二枚45円  地球宝割子七枚50円