令和の出典元となった万葉集の奈良時代(7~8世紀)以前から、日本人は植物を愛でてきました。万葉集には4500首の歌が詠まれ、その3分の1が植物を読むほど、日本人と植物は密接にかかわってきました。
伝統園芸植物は、古典園芸・植物とも言われ、特に園芸好きな将軍の多い江戸時代に、日本の美意識で大きく花開き、品種改良されてきた植物です。将軍への献上品として、各藩が自慢の植物を[お留花]として藩の特産品にしています。例を挙げると、鹿児島の薩摩藩では、万年青がその献上品として門外不出になり、万年青の出入りを厳しく取り締まっていました。
今回ご紹介する万年青、富貴蘭、錦糸南天、長生蘭、マツバランから、アサガオ、蓮、カキツバタ、サクラソウ、イワヒバ、カンアオイ、サクラ、ナデシコなどありとあらゆる植物の突然変異が見つかると江戸や京都の町のニュースになっていました。
ヨーロッパや中国のように、園芸といえば華やかな花が愛されてて人気になるのが普通です。日本では、ここにあるようにビザールプランツ、珍奇なものも尊ばれ、そこに日本の伝統園芸のオンリーワンの部分があります。
・ヨーロッパのプラントハンターたちが江戸時代に日本に来て、3つのことに驚きました。1、庶民から将軍まで園芸をたしなむこと、2、日本固有の植物の多さ、3、日本独特の品種改良に驚きました。
日本の伝統園芸植物である菊、あじさい、椿、つつじ、ぎぼうしなど多くの植物が、江戸時代からプラントハンターたちに紹介され、今現在、世界中で愛されています。
斑入りを楽しむ文化
また、斑入りを楽しむ文化は、江戸後期の(1829年)水野忠暁(みずのただあき)の「草木錦葉集」から世界に広がっていきました。
正座から生まれる小さな変化
名古屋園芸の小笠原左衛門尉亮軒先生がいうには、たたみで正座をする文化では、より小さな変化が目に入り、珍奇なものを愛でる文化が育つ、いすに座る文化では、目線がたかく、葉一枚の小さな変化よりも、植物全体の変化のほうが目にはいるとおっしゃっていました。また、鉢が江戸時代に発達をし、手元で愛でることができると、近付けてみることができ、小さな変化に気づきやすく、日本独自のビザールプランツの文化の土壌になっていきました。