お正月、新築、引越し、お祝い、開業などお祝いごとに万年青を贈る風習をご存じですか?万年青は、その字の通り、万年、葉が青々と栄えていくことから、縁起の良い観葉植物、開運のシンボルとして日本人に愛されています。この記事では、万年青の花言葉、種類、育て方、植え替えを紹介します。
索引
水野豊隆 この記事の執筆者
明治25年創業の【万年青の豊明園】の4代目。著書『始めよう!伝統園芸 万年青』。NHK趣味の園芸【万年青】2019年10月号にも協力、出演。月刊誌・趣味の山野草にて11年間、毎月おもとについて連載中。
おもととは
おもとは、古くは1000年以上前から薬草として、室町時代には生け花として、江戸時代には徳川家康公も楽しんだ園芸として日本人に愛されてきました。お正月のお祝いや引越しおもと、お祝いおもととして用いられてきました。
それは、万年青の名の通り、一年を通じて常緑で、万年といわれるほど長寿の、生命力の強い万年青にあやかりたい、ということでしょうか。万年青には、人々の幸せを願う心が込められています。
開運の引越しおもとと徳川家康公
慶長11年(1606年)、徳川家康公が江戸城入城に際し、斑入りのおもと3鉢を抱え入城し、おもとを床の間に飾り、徳川300年の繁栄を築いたという古事が広く知られています。現在も縁起を担ぎ、新築、引越しの際は、最初に万年青を置くことで、万年の繁栄、開運のシンボルとして万年青は大切にされています。
万年青の花言葉は?
(長寿) (長命)(永遠の繁栄) (母性の愛) (崇高な精神)
古来から、家に万年青を置くと災難を防ぎ、万年も家が繁栄を続けるといわれています。そこから長寿、長命、永遠の繁栄という花言葉が。
また、四季を通じて緑を保ち、大きな葉が冬の寒さから赤い実を守り、何年も青々として子を増やし続け繁栄するため、母性の愛という花言葉に繋がっています。
万年青などの古典園芸と呼ばれる江戸時代の植物は、実は武士の精神修養として、素養、教養として受け継がれてきた伝統を持ちます。崇高な精神はそこに由来しています。
おもとの種類
万年青は江戸時代からの400年以上ともいわれる品種改良の歴史があり、品種は1000種を超えるといわれています。それを大きさで大きく3つに分け、大葉、中葉、小葉、があります。葉の長さが30cmを超える、原種に近い大葉、15~20cm前後の中葉、コーヒーカップほどの鉢に入る、小さな葉と書く小葉です。
育て方は?
日本に自生している常緑の多年草なので、福島以南でしたら野外で十分育ちます。明るい日陰を好む、シェードプランツなので、直射日光は朝日だけにします。やはり植物なので、真っ暗の部屋は×。
野外でのポイント
直射日光は×。林の木洩れ日の中で自生しているので、風通しがよく、明るい、でも直射日光は当たらない場所がよいでしょう。
水やり 万年青は多肉植物のように葉が厚く、しょうがのような芋があるので水をしっかりと貯めこみます。完全に乾燥するとだめですが、水のやり過ぎは根腐れの原因になります。
冬の霜に当たっても元気ですが、葉の色は悪くなるので軒下でも良いでしょう。
室内でのポイント
明るい日陰を好む植物なので、室内でも十分育ちます。ですが、植物なので、真っ暗な場所はNG.カーテン越しなどでよいので、明るい日陰をつくってあげましょう。
エアコンや扇風機が直接何時間も当たると乾燥するので、直接風が当たらないように気を付けてください。
水やりは乾いたら、下から水があふれるくらいしっかりとあげてください。
肥料は?
万年青は、一年に2~4枚ほどしか葉を出しません。そして、同じ数の葉が落ちていきます。そのため、肥料は少なくてよく、春と秋の生長期に少しだけ有機肥料をあげてください。液肥でしたら、パンジーなどの液肥の約100倍ほどに薄めてやってください。
植え替えは?
下から、大粒、中粒、小粒と入れると水の通りがよい
植え替えは1年~2年に一度、春か秋に行います。クーラーや暖房がいらないような、気候のいいときがよいです。用土は土でも、赤玉土のような園芸用土で大丈夫なので、今植わっている用土に近い方が環境が変わらず、適しています。
やり方は、底砂を入れ、万年青を入れ、首元と呼ばれる根と葉の間まで用土を入れれば、出来上がりです。
ふやし方は?
株分け、種まき、どちらでも出来ますが、万年青は400年の品種改良の歴史から、実が付かず、種が取れないものがあります。葉の長さが15cm以下のものです。株分けはすべての万年青でできます。
親株から子供の株、子株がでるので、2~3年してから元からパキっと割れば株分けできます。
どんなものがおススメ?
良く聞かれる質問ですが、基本的にはお客様の好きなもので大丈夫です。もしそれでもアドバイスをするなら、万年青は縁起物なので、縁起の良い名前の本物をお勧めします。お多福、新生殿、大黒殿などがおススメです。
園芸店、ホームセンターのおもとには薬品処理で柄を付けているものもあり、次の年には真っ青になるものもありますので、注意してください。
まとめ
引越しおもと、お祝いおもととして縁起物として大切にされてきた万年青は、日本に自生している丈夫な植物。初心者の方でも特別な施設や管理がいらずに育てられます。縁起の良い贈り物として、観葉植物として、是非育ててみてください。
●動画解説 【開運の引越しおもと】徳川家康公の開運のシンボル、花言葉、種類、育て方、植え替えについて
【万年青の豊明園】【Lucky Plants OMOTO】
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