江戸残雪 (えどざんせつ) 宗石の虎

 江戸残雪 (えどざんせつ)
 宗碩の虎 (そうせきのとら) 宗石の虎

江戸残雪 (えどざんせつ) 鉢7.0号 立ち葉で葉巾が広く濃緑色の葉に白い虎が美しく現れる品種。性質は強健で少し日光を取ると白く柄がはぜます。古典品種、数が少なくなっています。 江戸時代鹿児島に伝わる珍しい品種。江戸時代の千駄ヶ谷(現・渋谷区)に住まいの医師・高坂宗碩氏が紹介したことからその名があります。
播磨明石藩主・松平平衛督直昭候の江戸屋敷で『宗碩/宗石』に虎斑が出たと伝わっています。参勤交代時に江戸から鹿児島の島津藩へ持ち帰って愛培したことから『江戸残雪』の別名で呼ばれています。

古くに薩摩藩の武士が皆おもと好きで江戸から持ち帰ったと言われている貴重でかつ希少日本の心を映すおもと鎌倉、室町から江戸の武士文化はおもとのすっとした凛々しさとマッチしたようで武家文化とおもとは様々な言い伝えが残っています。また、薩摩藩のある鹿児島では武家の家にはおもとがあると言われおもとは武士の心、いつ主君のために命を賭しても構わないというに 寄り添う植物です。

江戸時代に薩摩の万年青好きな武士が江戸からの参勤交代の際に薩摩に持ち帰った万年青 【江戸残雪】

宗石の虎 (そうせきのとら)

万年青 豊明園

楊貴妃 (ようきひ)

分類    薄葉系統 群雀系
作出年代    昭和55年
登録    平成27年代(年)
作出者   水野雅章(豊明園3代)
命名者   水野雅章(豊明園3代)
登録者   水野豊隆(豊明園4代)

砂子の女王 楊貴妃(ようきひ)

薄葉系、小型の砂子柄群雀系統。雀芸はほとんど現さないですが、砂子柄は鮮明で美しく、直線的で鋭さがあります。こういった柄物には珍しく、葉肉が厚く、芸も現すのも見逃せないところ。名前の通りの美しい品種です。ここ数十年、「小型の美麗品」があまりなかったので注目度がより高くなっています。まだまだ数は少ないですが、性質は強健で、割り子でよく殖えるので入門者でも安心。砂子柄全般にいえることですが、肥料、採光は強めにした方が柄が鮮明になり、葉も厚くなります。葉焼けしにくいので、春からしっかりと日光を採ります。

 砂子斑をもつ品種は少なく、大葉では 阿賀野川(あがのがわ)、獅子では、砂子獅子(すなごじし)、中葉に、錦昇龍(きんしょうりゅう)、同じグループの群雀系統では白鶴(はくつる)、玉雀(たますずめ)、錦王雀(きんおうじゃく)、瑞雲海(ずいうんかい)、などありますが、どれも古い品種で、今では砂子斑を持つ新品種や、新品種を作出する実親(交配親)がほとんどなくなっています。特に砂子群雀と呼ばれた群雀のグループは主に愛知県幡豆郡(現西尾市)で作出され、流行が去ると作出した親までなくなってしまいました。

 今では面白い話ですが、柄の中にも格付けがあり、作出がとても難しい千代田斑や、突然変異でしか生まれない図柄や虎柄が最上で、縞柄、胡麻斑、曙柄、などがあり、矢筈柄や砂子柄はとても丈夫でよく殖えるということで入門向けに見られていた時代もありました。が、今またその丈夫さや美しさが長所となり、おもと界全体として見直されつつあります。

楊貴妃(ようきひ)

 古くからおもとの流行の歴史を見ていくと、無地物ともよばれる地味なものや、芸を楽しむ羅紗が人気の時代と、こういった砂子柄や図柄、縞柄、虎柄などの美しさ、綺麗さのある柄物おもとが人気の時代が交互に昇ってきています。渋く芸を楽しむおもとと、今、人気がゆっくりと盛り上がってきた砂子柄のように華やかで美しいおもと、両方を楽しめる良い時代になりました。

楊貴妃(ようきひ) 新進の美麗おもと、雪白の透き通るような砂子斑が美しい芸も繊細で華やぐ砂子斑、鋭い葉先、株立ちになりやすい美しいおもと。

楊貴妃(ようきひ) 登録時の写真

大像観 (たいぞうかん)

分類    大葉系統   江戸おもと
作出年代   江戸時代
登録
作出者    不詳
命名者   不詳
登録者

おもと大象観(たいぞうかん) 竹林七種図薩摩鉢

大象観の青葉は正月おもとの生け花に良く使います。鉢は薩摩焼の古鉢江戸時代のおもとは青い葉のおもとが主体でこの様な縞柄が美しく入るおもとは珍しいです、『草木錦葉集』にも見られ珍重されていたことが見受けられます。広い葉巾は少し波葉を見せる。
雄大な品種、性質は普通品種。

大葉系統を植えるのに楽鉢と迷うのがこの薩摩鉢。古さもあり、味があります。

大象観とも       たいしょうかん たいぞうかん

江戸時代からの品種で、生花を池坊で楽しんでいる方ではなじみ深いかもしれません。池坊では七種花伝という大切な七種の生花を選んでいて、祝いの花、正月の花、結婚式の花に万年青を使っています。

その時に使うのが縞のない、青いおもと。深い青に、赤い実が映え、縁起のよい取り合わせになっています。江戸より古くは、万年青は老母草と書いて、オモトと呼んでいて、様々な説がありますが、青い葉が赤い実を包んでいる姿が、母が赤子を包んで守っているように見えるからだとか。広い葉の大象観らしい描写です。

現在も正月前になると生花用に花屋さんで扱われます。マニアの間では、大象観に縞の入ったこの品種が人気です。非常に珍しく、まず手に入りません。

大象観(たいぞうかん)10月22日の写真 実の色は葉の色と同じ

展示会 案内

春のおもとを楽しむ会

日時 2018年4月14日15日

展覧時間午前9時~午後5時   15日4時まで

場所 おかざき農遊館 展示室

愛知県岡崎市阿知和町字乗越12番地

電話 0564-46-4700

第50回全国おもと実生展示大会 

日時 2018年9月9日

場所 愛知県岡崎市 羽根稲荷神社社務所

鹿児島おもと名作展

日時 2018年

場所

第92回 三河おもと名品展

日時 2018年11月3日()  4日()

展覧時間午前9時~午後5時   4日3時半まで

場所 おかざき農遊館 展示室

愛知県岡崎市阿知和町字乗越12番地

電話 0564-46-4700

第73回 日本おもと名品展 

日時 2018年11月17日18日

場所 東京上野グリーンクラブ

 

神戸おもとを楽しむ会

日時 2018年12月第一土日予定

場所 神戸市中央区諏訪山町2-8 ℡078-351-9756

萬遊会

第19回萬風展 

場所 東京上野グリーンクラブ

日時 2019年

 

 

 

 

 

 

岳陽 (がくよう)

分類    羅紗系統
作出年代    昭和58年
登録      平成16年
作出者   水野雅章(豊明園3代)
命名者   水野雅章(豊明園3代)
登録者   芦田潔(神奈川県)・水野雅章(豊明園3代)
作出地   豊明園

小型種で葉繰り良く、盛り上がる地合いに彫りの深い起伏激しい総雅糸竜でゆず肌地、肉厚の雅糸竜が魅力、性質は普通品種。
実親「三河大宝」に「太陽」を交配して作出しました。

「太陽」から作出された品種で、折下げ良く、覆輪が深く回り、「太陽」から受け継いだ黄金色の雅糸竜、玉竜を現す至芸の逸品。他の羅紗品種との相違は、葉の厚さが少し薄く、優美さと雅味ある趣に仕上がる。性質は普通。採光は強め、肥料は普通。繁殖は主に芋吹きなので未だに数少なく、棚入れ希望者の多い品種。

岳陽 (がくよう) 1年生 芋吹き

岳陽 (がくよう) 登録時の写真 苗から親木まで5本揃えて登録

長春閣 (ちょうしゅんかく)

分類    羅紗系統
作出年代  昭和41年代(年)
登録    昭和55年
作出者   水野淳蔵(豊明園2代)
命名者   水野淳蔵(豊明園2代)
登録者   水野淳蔵(豊明園2代)
作出地   豊明園羅紗の高級人気品。おり下げの良い美しい葉姿が魅力。細かく繊細な雅糸竜が、全面にかかり、気品あるおもと。大宝F1と晃明殿の交配。性質は、丈夫で、採光は充分に。芋吹きが多い。芸最上の作りがいのある木非常に丈夫、雅糸龍 がしりゅうの美しさで右にでるものない、葉肉の厚さも特筆すべきポイント

羅紗芸の中でも人気の芸は、この長春閣に代表される、雅糸龍です。おおくの羅紗実生家が、雅糸龍のすばらしいものを目指して交配を重ねます。羅紗の雅糸龍で、もしこの長春閣を超えるものができれば、その木はまず羅紗のトップの人気になるでしょう。今の雅糸龍の芸で最上のおもと、長春閣。葉の厚さ、雅糸龍の美しさ、太い腰から鋭い葉先にかけての雅糸龍はほれぼれするようで、ある人には日本刀を思い起こさせます。若い頃の芸も楽しく、毎年よくなっていく、厚くなっていく葉には期待が膨らみます。

葉幅もあり、小型でありながら迫力は十分。緑の芸術として、作っていきたい品種です。

長春閣 (ちょうしゅんかく) 3年生 覆輪だけの葉から今年の葉は雅糸竜を見せ始め覆輪が深くなってきました。

「晃明殿」を親に持つ、芸厳しい品種。その折り下げの良さ、盛り上がる総雅糸竜は一見して本種と見分けが付き、この芸を引き出すために採光は強めで管理する。若い頃から葉肉の厚い、覆輪の良い葉は尖り、凛々しい姿。至芸の葉を何層も重ねた重厚感ある姿は王者の貫禄を備えている。性質は強健、肥料は普通。繁殖は芋吹きが主。

 

白蝶 (はくちょう)

分類    薄葉系統  矢筈系
作出年代    不明
登録     昭和6年
作出者    不明
命名者    水野淳治郎(豊明園初代)
登録者    水野淳治郎(豊明園初代)
作出地    愛知県

蝶が羽を広げた形になる、白い柄は矢筈柄、甲竜や剣葉を見せる。5月6月の新芽が伸びてくる頃採光を十分すること、9月後半まで朝日を当てて管理すると白さが鮮やかになります。葉姿と名前がマッチするおもと、稀少品種。

非常に古い品種。今お持ちの方は皆から尊敬される相当なマニアです。中型で、鉢は3.5号から大きく株にしても4号ほど。10.5センチから12センチの直径の鉢に収まります。日本全体の温暖化や日差しの強さで、この矢筈系統や曙系統は柄が出やすく、楽しみやすくなっています。気温が上がるほど、また、日に当てれば充てるほど、これらの系統は柄がでます。葉の薄めのものは多少気にしますが、この白蝶は葉肉が非常に厚く、新芽の動き出すときから伸びきるまで、しっかりと日で“あぶって”あげましょう。あぶり出しのように柄がでてきます。その時に、朝日が当たる場所に置ければベストです。どのおもとも朝日が好きなので、朝日が一番よくあたる場所がそのお棚の持ち主の一番好きなおもと、とも言われます。

朝日は昼間の光に比べて、光はしっかりと当たりますが、葉が焼けることはありません。

白蝶(はくちょう)  2年生

おもと芸 跳ね竜(はねりゆう)

跳ね竜(はねりゅう) 品種青竜(せいりゅう)
1本、2本竜の竜の先端が竜丈の突起が現われる形の葉を言う。
跳ね竜(はねりゅう)の中には半甲竜・跳ね返り竜などがあります。

跳ね竜(はねりゅう) 品種玉姫 (たまひめ ) 

跳ね竜で一番有名なのは玉姫でしょうか。なかなかここまで綺麗な跳ね竜を魅せる品種は少ないです。若い頃は雅糸龍だったものが、年を重ねるにつれ、雅糸龍も深い山を刻むようになり、玉竜、跳ね竜を現すようになります。竜が跳ねているようにみえるので跳ね竜といいますが、角のように見えるという人も。角竜(つのりゅう)とも呼ばれ、これは万年青の芸の奥深さなのですが、地域ごとに呼び名がかわったりしています。

万年青の曙柄(外輪山や東天光、福の光など)が、海を渡ったアメリカでも アケボノで通じます。葉芸に関しては世界でも特に秀でた観察眼を持っていた万年青趣味者。突き詰めていく民族性なのか!?

この跳ね竜があると華やかな印象になり、元気のよいイメージを与えてくれます。もし新品種に跳ね竜を出したいな、と思ったら、青龍や玉姫などを使うとやはり遺伝しやすいです。玉姫も交配の時に羅紗の血が強いと羅紗獅子や本当の羅紗になりますので、面白いです。

 

四君子 (しくんし)

分類    薄葉系統  獅子系
作出年代  昭和36年代
登録    昭和58年
作出者   水野淳蔵(豊明園2代)
命名者   牧野博(埼玉県)
登録者    牧野博
作出地    豊明園 (愛知県)

おもとの系統の中で、初心者さんに真っ先に覚えてもらえるのが獅子系統です。くるくると巻く、可愛らしい姿は女性や若い方に人気で、引越しおもとなどでもよくでます。そんな獅子の中でも、芸の素晴らしいものは『四君子(しくんし)』です。でた当初は、その気品のある芸、巻きの魅力に、獅子のスーパースターと呼ばれました。

獅子系の代表品種。粗い地合いを持ち、若いうちは高い甲竜を現し、成長するにつれ低い総雅糸竜を現す。巻き方は強く、折れ曲がるような‘角巻き’をみせて力強い。姿は乱さず、きめの細かい地合いは繊細で上品な容姿となり一見して判別がつく

四君子は、豊明園2代目の水野淳蔵が昭和36年に麒麟獅子×晃明錦の交配で作出。 当歳で、命名者の牧野博氏(埼玉県)に棚入れしたが、価格で1万円!当時では破格の値段で、業者仲間には高すぎる、良くならない、といろいろ言われたそうです。牧野氏は東京大学出身の医学博士で、水野淳蔵とは同い年。気も合い、ともに名もない実生時代から、四君子を伸ばしていきました。

四君子(しくんし) 3.3号鉢 2年生 若いころは巻きも穏やかで親とは似ても似つかぬ姿だが、地合いや姿に気品がある。

 

獅子芸

5~6年生。巻き、芸ともにしっかりと現し、迫力がある。角巻きや高い甲竜を見せる。

良い芸を出すコツ

春、芽の出る時期は陽を強めに、後に弱めることで葉の伸びもよく、作りやすいでしょ う。羅紗のような芸を現しますが、芸をよくしよぅと陽が強ければ、獅子の巻きが悪くなってしまいます。芸の良さと獅子の巻き、両方を同時に引き出す陽の採り具合を見極めてください。

苗から若親までは順調に生長します。殖えの良い木なので若いぅちから子上げをするた め、親木がなかなか大きくならず、芸が変わらない若親の時期が1〜3年ほどあります。 おもとは辛抱草とも言われ、ここでじつくりと力をつけることである年を境に素晴らしい 芸をみせてくれます。芸が良くなれば、芋切りなどをしない限り、毎年美術木として維持しやすい木です。

寿岳 (じゅがく)

分類    羅紗系統  胡麻斑系
作出年代    昭和45年
登録    昭和61年
作出者   水野淳蔵(豊明園2代)
命名者   水野雅章(豊明園3代)
登録者   寿岳推奨会

寿岳 (じゅがく) 5年生 鉢3.7号
柚子肌の地肌に胡麻斑を現し雅糸竜、甲竜を見せる品種です。
『福寿龍』×『金晃明』の交配により生まれ、培養を重ねるうちに王者の貫禄が備わった。培養は採光を充分おこない管理、繁殖は普通。

ゴマ羅紗の王者。

江戸時代の万年青趣味に通じるものがあるのか、万年青の緑、葉の厚み、貫禄を楽しむ。ゴマ斑をもち、黄金の胡麻を葉に散らし、独特の地合いがあります。胡麻羅紗の王者と言われるゆえんも、その地合いの素晴らしさから。ドキッとするような地肌は美しく、いつまでも眺めていたい。加えて、その地合いを引き締めるかのような雅糸龍は力強く、深い渓谷を思わせます。胡麻羅紗のレベルを上げ、裾野を広げた立役者。作出され50年近くたった今でも、人気もあり希少ですが、色あせない魅力を楽しんでみてください。

寿岳3年生