錦麒麟(きんきりん)

分類    薄葉系統
作出年代 明治32年
登録    昭和9年
作出者   大辻久一郎
命名者  大辻久一郎
登録者   日本萬年青連合会
作出地   京都府
ふくらみのある広い葉巾で、中央に甲竜を現し、黄色い深覆輪を見せる。やや大型で、明治時代に『玉川竜』より作出される。縞柄が均一に入ると価値が高くなる。縞柄の抜けた物は『麒麟冠』と呼ぶ、実付きは特に良い。『錦麒麟』の実生に太陽が生まれる。

王道品種として常に愛される。丈夫で、華やか、名前もよく、実もついた日にはお正月にもぴったりの縁起物。万人に愛されるおもとです。肥培すれば大きさもかなりの大きさになり、実付きも非常によいものが望めますし、逆に小型でかっちりと作りたい人には、小型の鉢で作りこんでいけば凛々しいきりりとした姿を楽しめます。
『錦麒麟』の相場について
この『錦麒麟』についてはその人気と縞の特性、殖え方によって独特な値段の変遷があったので、ご紹介します。
おもとのほとんどの品種は、どんなに人気のある品種でも、時代が進むにつれてだんだんと値段が優しくなっていきます。需要と供給の関係で、殖えればどれも値段が下がります。やはり質が高いおもとは人気が出るので需要が高く、なかなか値段が下がらないのが常ですが、いずれ下がってきます。この『錦麒麟』は少し相場が下がりだすととたんに買い占める人が出てきて、すぐに市場に出回る数が減り、価格は維持どころか上がっていきます。欲しい人は常に多い木です。丈夫で殖える木ですが、欲を出して無理に増やそうとするとなかなか増えない木でもあり、供給が限られています。縞柄も常に一定ではないので、縞の良いものは相場の倍になることも。いろいろな要素が絡み合い、万人に愛される『錦麒麟』は相場の底値ではまず買えない木でもあります。

江戸残雪(えどざんせつ)

江戸残雪(えどざんせつ)
別名 宗石の虎(そうせきのとら)立ち葉で葉巾が広く濃緑色の葉に白い虎が美しく現れる品種。
性質は強健で少し日光を取ると白く柄がはぜます。古典品種、数が少なくなっています。 江戸時代鹿児島に伝わる珍しい品種。
江戸時代の千駄ヶ谷(現・渋谷区)に住まいの医師・高坂宗碩氏
が紹介したことからその名があります。
播磨明石藩主・松平平衛督直昭候の江戸屋敷で『宗石』に虎斑が出たと伝わっています。参勤交代時に江戸から鹿児島の島津藩へ持ち帰って愛培したことから『江戸残雪』の別名で呼ばれています。

古くに薩摩藩の武士が皆おもと好きで江戸から持ち帰ったと言われている貴重でかつ希少日本の心を映すおもと鎌倉、室町から江戸の武士文化はおもとのすっとした凛々しさとマッチしたようで武家文化とおもとは様々な言い伝えが残っています。また、薩摩藩のある鹿児島では武家の家にはおもとがあると言われおもとは武士の心、いつ主君のために命を賭しても構わないというに 寄り添う植物です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

光陽(こうよう)

分類    薄葉系統  縞甲系  
作出年代 昭和49年(1974年)
登録    平成元年
作出者   水野淳蔵(豊明園2代)
命名者   水野淳蔵(豊明園2代)
登録者   水野淳蔵(豊明園2代)
作出地   愛知県  (豊明園)

薄葉・縞甲系統 地は艶消しで厚く、やや黄色みを帯び、黄白色の大覆輪をかける。葉先は丸止めで、葉丈がつまり、葉姿が美しい。粗い総雅糸竜に玉竜をのせ、小型縞甲の代表種。
性質 強健で作りやすい品種。

小型縞甲の代表種。縞甲系は大葉と変わらぬ大きさの大型のものや、豊明海(ほうめいかい)、月光(げっこう)などの中型のものと大きなものが最初にでてきた。だんだんと交配が進むにつれ、羅紗系統との親との交配が進み、縞甲系と羅紗系の両方のよさをもつ品種が出てきた。縞甲系の強い雅糸龍に、大きさのある迫力と、羅紗の小型さと芸の緻密さや変化の大きさが加わり、両系統のよさを凝縮したような本種ができた。

詰まった葉に葉幅広く、その広い葉前面を覆う雅糸龍は力強い。水、日光、風通し、肥料、若さで雅糸龍も変化し、荒いものから、非常に繊細な雅糸龍をみせ、芸の幅の広さに驚かされる。姿もまとまりやすく、葉数もくるので、太平洋側の夏場暑い場所なら2年の葉を持たせればかなり美しい姿を楽しめる。縞甲系のよさでもある、若いうちからよい雅糸龍をみせてくれるので、長くゆっくり楽しみたい人は1-2才の若苗の生長を見守るのがおススメ。梅の咲くころ、桜の咲くころ、肥料をやり、竹酢液やワラ灰、スーパーワンなども使いながら春からの芽伸びを楽しみたい。
竹酢液 防虫 病気は虫が主に媒介するので、まず虫が嫌がる環境をつくります。

豊明海(ほうめいかい)

分類    薄葉系統  縞甲系
作出年代 昭和33年(1958年)
登録    平昭和43年
作出者   水野淳蔵(豊明園2代)
命名者   水野淳蔵(豊明園2代)
登録者   水野淳蔵(豊明園2代)
作出地   愛知県  

縞甲系という雅糸龍を魅力的にみせる中型のおもと。その縞甲系の中でも葉幅は広く、迫力があります。濃紺の地質に雅糸竜を見せ小さな玉雅糸竜を見せます。この写真の木は、特に珍しい縞覆輪の木。濃紺の葉に覆輪のみの木ではどっしりとした力強さを、この稀少な縞覆輪では力強さの中に華やかさを感じさせる姿になります。『光陽』、『太陽』、『萬陽』など、小型、中型縞甲と呼ばれるものは人気品種が多いですが、この『豊明海』はその中でも横にどっしりと構えた姿で、この写真の縄縁太鼓胴のような胴太の鉢や、盆栽鉢、山草鉢など世界が横に広がっていく鉢との相性もよいです。メインに『豊明海』を据え、脇に可愛い山草を飾れば、渋さの中に愛らしさを感じさせる玄関飾りや床飾りに。赤い実も付くので正月にもぴったりです。今は一本立ちが主流の時代なので素立で楽しむことが多いですが、この『豊明海』や縞甲系は株立ちの迫力は抜群。株立ちの鉢植えにして育てると、普通の黒鉢に入っていても誰もがまず目を引く、焦点になるおもとです。首が太くなるので、非常に力強い印象を与えます。

 

 

 

玉姫(たまひめ)

分類    薄葉系統  獅子系
作出年代 昭和52年
登録    平昭和60年
作出者   不詳(愛知県)
命名者   小川義明(愛知県)
登録者  小川義明・六鹿昭
作出地   愛知県 

 

玉姫の魅力 玉雅糸竜と跳ね芸

濃緑色の葉に盛り上がる厚はに総雅糸竜・玉竜
葉面を突起させる跳ね竜を現す、
丈夫で育てやすい品種 採光はやや強めにして管理。

おもとの中でもこれほど激しい玉雅糸竜・跳竜を見せる品種は少ない。獅子系統の中では一度は作ってみたい品種。子上良く丈夫です。又実親として玉雅糸竜・跳ね芸を移す雄木に使用しても面白い。

 

芸の強いものほど、若い時に暴れる傾向があります。大人になると落ち着いてきて(!?)、整然とした姿になってきます。非常に葉肉が厚く丈夫で、この青、縞、覆輪、縞覆輪、どれも実親に使えます。もちろん私どもも使っています。小型の玉姫とも言われる古龍丸のようなものを狙っても面白いですし、この芸でより葉の長いものや大葉系統とかけて大きな玉姫の芸の強いものを狙っても面白いですね。羅紗の実親とかけて羅紗獅子の玉姫がでても盛り上がりは凄いでしょう。長い間なかなか手に入れるのも難しかった品種。

金鶏 (きんけい)

金鶏 きんけい
江戸時代からのおもと数は多くなく、歴史があり希少な品種。
江戸時代、明治時代の文献にも多数出てくる人気の品種。
なぜ人気だったかというと、この金色の斑が実生で出すことができず、
初心者でも簡単に見分けができたから。
濃緑色の葉に黄金色のちり斑を現す。春先から採光を強めに管理すると鮮やかさが増す

豊明園初代は特別な識別眼なしに特徴をはっきりとわかるおもとを特に大事にしていた人でした。
豊明園初代が大切にした根岸松の図や新生殿、愛玉殿、剣舞、天光冠、雪中の松、寿、錦昇龍、白雀、白蝶、錦王雀の図などどれも初心者でも一発でわかる品種です。
その当時、符丁おもとともよばれる、ラベルがないと誰も識別できないおもとの売り買いが流行っていて、豊明園初代は分かりやすい、楽しいおもとを志したのでした。
形も素直で美しく、柄も楽しめる金鶏。江戸時代からの歴史もあり現在貴重になりつつあります。
 

日月星 (じつげつせい)

分類    薄葉系統  一文字系 江戸おもと
作出年代 安政年間
登録    昭和9年
作出者   三河屋某(愛媛県)
命名者   
登録者   日本萬年青連合会
作出地   

 

 

 

 

 

濃緑色の葉に深い覆輪を見せる品種。葉数が多く出て、葉が巻き込む(筒葉)が特徴。採光を強めに管理すると葉巾が広くなり又子が繁殖しやすくなります。

江戸時代からのおもと江戸珍品
世が世なら、100萬円と言われても安いといわれたおもと。
おもとの価値は歴史的価値や芸や形の質の高さ、おもととしての完成度や繁殖のよさ、丈夫さが加味されて決まってきます。
江戸時代、原種のよく見る青いおもとが主だった時代、この『日月星』の姿は品があり、葉の美しさは武士道にもかない喜ばれ、おもと数寄者 趣味者を魅了しました。この『日月星』が素晴らしいのは形、芸というだけでなく、実をまいてもこの独特な日本刀のような葉がでないことが人気の続く要因でした。
新生殿や天光冠、根岸松の図、楊貴妃、四君子、太陽など
オンリーワン、唯一無二の特徴をもつ木は時代を超えて愛されます。

根岸の松 (ねぎしのまつ)

分類    薄葉系統   江戸おもと
作出年代 安政4年(1857)
登録    昭和9年
作出者   篠常五郎
命名者   篠常五郎
登録者   日本萬年青連合会
作出地   

 

 

 

濃緑色の深覆輪に明るい根岸斑を見せます。
葉は中立ち葉で葉先は尖ります。子出し良く実付き良い品種。
性質は中、肥料やや多目・日光中。

「根岸松」は江戸時代には鉢に画かれている「根岸松」と書かれています。
「根岸の肴舎」

江戸おもととして非常に有名。今は多くの人が楽しんでいる千代田系統の元祖がこの根岸の松(ねぎしのまつ)です。今年が2018年なので、もう161年もたっているのですね。江戸万年青である五大州や残雪などの縞や図、金鶏のべっ甲柄などはありましたが、この根岸斑は当時なく、完全に新しいものでした。今の千代田系統の素晴らしい品種や、千代田獅子、千代田羅紗などの派生系統もこれがなければ生まれていないわけで、万年青界においては最重要な品種です。根岸の松のためだけに作られた写真の鉢も、それだけの価値のある「根岸松」だからそこ、と言えるでしょう。作りも最上級です。
写真のように実も付くので、交配も楽しめます。同じように千代田の松や千代田系統もある程度の大きささえあれば、実がつくので、まいてみる価値が大いにあります。
非常に丈夫ですが、やはり根岸斑のある白い部分は濃紺の地より焼きやすい。私どもは夏場直射日光をとってお客様ものためにも、おもとのためにも、丈夫に作りたいと思っていますが、手にした最初は直射は気を付けて。暗い場所はよろしくないですが、直射を避けた方がよいでしょう。また、寒風、強風も白い部分をやくので冬場は気を付けます。

福寿草

豊明園 下山 柿の木の下
梅や福寿草の花が開くころおもとの根も活発に動き出します。
肥料を置く時期に入りました。

豊明園では肥料を置き始めました。
今までは水苔の上に肥料を置いていたので
水をあまりやらない乾かした作りでも肥料が効きましたが、
今は富士砂の上に肥料を置いているので
昔ほど肥料はききません、植え込み用土により肥料の量が変わります。

陽射しが強くなり真冬と水遣りの間隔が少し短くなってきました。5日目の灌水です。

新生殿(しんせいでん)

分類    羅紗系統   
作出年代 昭和10年代
登録    2001年
作出者   広瀬守継
命名者   水野淳治郎 (豊明園初代)
登録者   日本おもと協会
作出地 

昭和10年豊明園初代(水野淳治郎)が『国防殿』と命名、
戦後昭和21年に『新生殿』と改名登録、おもと羅紗系の代表種。

羅紗系
葉姿美しく特に丈夫なおもと 『新しく生まれる御殿』と名前よい
福福しい葉姿が人気 引越しおもと・お祝おもとなど
お部屋の観葉植物に最適
新生殿の葉芸の変化
姿迫力あり、芸も強い系統、丈夫な品種
特徴がはっきりした品種が人気

万年青を好きなすべての人が知っている品種。
羅紗という小型の万年青で、2~3年で芸を見せ始め、5年で親になる。見ごたえのある新生殿にしたかったら、7年ほどかかるかもしれない。それだけ時間がかかっても、育てる価値がある品種。非常に丈夫で、力がつくと子上げもする。芋吹きで増やすことが多いので、殖えるのに少しだけ時間がかかる。なので、どうしてもより殖え易いものよりは価格は少しだけ高い。