おもと腐敗病の予防
社団法人日本おもと協会 静岡県支部長 青木慶祐 文
            協力者 静岡県柑橘試験場長 岩橋光
                        病虫害研究室副主任 伏見典晃
はじめに
 近年、愛培の「おもと」が春から夏季の暑い時期に、芋と葉の首元部分の色変わりが観察されて、急激に葉の緑色が薄くなり黄褐色から赤褐色となって芯がぬけてしまうが、芋はのこっている。おもとが腐敗するまでの間、わずかに2週間程度という恐ろしい病気が各地に多発している。 この病気に罹患した「おもと」を平成14年11月及び平成15年7月に検査をしたところ、原因物質は「かび」の一種である「Fusarium」が検出された。その結果、原因物質が同一菌であることを確認するとともに、防除対策を考えることとした。
1. おもと腐敗病(仮称)の名称
既に「おもと軟腐病」の名称があることから「おもと腐敗病」と称することとした。
2. 検査材料および検査機関
 平成14年11月5日おもと腐敗病に罹ったおもとから検出した「Fusarium」を健康な「一文字・友染大宝」の芋底をきり平成15年5月10日塗布した。また、平成15年7月23日に発病したおもと検体を静岡県柑橘試験場の病虫害研究スタッフに検査依頼して行った。
3. 検査方法と病原物質
「かび」の分離・同定、保存に用いられる最も一般的な培地、ポテト・デキストース寒天培地(ジャガイモ・ブドウ糖寒天培地:PDA)で、培養温度は摂氏27度、期間は2日間以上の培養検査を行なった。
検査結果は、培地上の集落は、生育極めて旺盛、フエルト上や綿毛状、白色のちサーモンピンク色、紫色、帯濃青灰色などの色の変化に富んでいた。
この集落の「かび」を電子顕微鏡で確認したところ、分生子、分生子柄等から、同一のFusariumあることが確認された。
4. 分布と生態
 日本でもFusariumの分化型は30型以上が確認されており、多種類の植物に寄生し、特にスイカ、メロン、キュウリ、ダイコン、グラジオラス、チュウリップ、スギ、ヒノキ等が強く侵されていることが報告されています。
植物に寄生して、つる割病、萎黄病、立枯病の原因菌となっている。この菌は、土壌に腐生的に分布し、菌糸や厚膜胞子の形で越冬する。
  防除法

1.農家の言葉に「苗・半作」という教えがあるが、おもと作りでも「健全ななえ」を棚入れして、
 日和見感染を起こさないように通風、陽作りで病気に罹らないように管理する。

2.植え込みには、かびの付着のない新しい砂・炭・水苔を使う。

3.植え込み砂、材料の消毒は、土壌消毒剤のNCS(N・メチルジチオカルバミン酸アンモニウム)、
 クロルピクリン剤、臭化メチル剤、ダドメット粒剤等の土壌消毒剤か、夏季に砂を黒色袋に入れ
 石灰窒素を混ぜて密封消毒する。
 消毒方法は、化学的消毒方法もあるが、煮沸消毒が一番効果的である。

4.使用水は、細菌、かびの増殖に注意する。炭を通すのも工夫の一つである。

5.発病株は、速やかに抜き取り処分する。砂は廃棄、鉢は煮沸消毒する。

6.鉢に植えるおもとは、ベンレート等のかび殺菌剤で必ず消毒してから植える。

7.植え込み後の消毒は、細菌類は傷から侵入する。かびは、傷がなくても葉の襟組から
 植物体内に侵入する事を考慮して行う。若葉の成長期は特に注意が必要である。

8. 使用する農薬は、抗生物質ではない。
 ○予防薬としては、ペンレート、ダコニール、ダイセン、オーソサイドの1000倍液を月2回程度、
  3月から7月は3回程度散布する。
 ○治療剤としては、トリフミン1500倍、ラリー2000倍液の散布が効果的である。
  薬剤の均一的浸透力を高めるために、展着剤アプローチB1の1000倍混用する。
  治療剤は薬剤耐性が強いので年2回以内とする。
  治療剤を使用するようなおもとは、廃棄したほうが無難である。
「Fusarium」培養検査 「Fusarium」培養検査
万年青の病気
「おもと腐敗病」