おもとの鉢について 縁足金

おもと鉢について  

新生殿 (しんせいでん)

おもとでは、多くの趣味者が鉢も楽しむことが多いです。それは、展示会のため、というだけでなく、自分の部屋や玄関など、飾るときに美しくみせるためです。

古く、徳川家康公がおもとを楽しんだり、殿様、諸侯がおもとを楽しんだ時、そのためにわざわざ鉢を焼かせるほど、鉢にはこだわりをもっていました。室内のしつらえに合わせるためなのか、床の間に合わせるためなのか、非常に素晴らしい鉢が残っています。

万年青は室町や江戸時代では盆栽とも呼ばれていて、盆は鉢、裁は植物を現します。ただの盆、鉢だったのが、だんだんと装飾を施されるようになり、今の鉢文化に繋がっています。

江戸時代終わりごろの書籍には、おもととともに鉢を楽しむ姿が描かれています。

現代では、いつ、どれを部屋で楽しんでもいいように、化粧鉢や錦鉢とよばれる鉢で作られる粋な方もいらっしゃいますが、多くの方が黒鉢、プラスティックの鉢を使われていると思います。それでも皆さん、正月や、春や秋の植え替えの気候のいい日には錦鉢に植えて、将軍様が楽しんだように、おもとを愛でています。

縁足金 (ふちあしきん)

縁足金(ふちあしきん)

又は略して縁金(ふちきん)ともよびます。
3つ足ふち有りの伝統的な形・製法の黒鉢の縁と足に金を焼き付け物。
製法
整形・乾燥→800度素焼き→釉薬掛け→1200度本焼き→赤熱状態のまま水につけ急冷焼締めを防ぐ
上記製法により生地の内部や釉薬に細かい隙間ができていて、鉢自体に適度な通気・保水性があります。根の生育によいとされ古くから万年青の育成に使われている伝統鉢。

おもと鉢のサイズ

製造過程で縮む物なので工業製品と違いある程度のサイズの上下はご了承ください。1号=3センチです、例えば3号ですと9センチ※目標寸になります。

オモトの鉢のサイズは鉢の外、外側で計ります、サイズは12.5㎝

おもと鉢の大きさ

オモトの鉢は高さと幅が同じサイズで作られています。号数は大きい鉢になるほど誤差が出てきます。気温や湿度、土により誤差ができます。

楽鉢の薄さ、通気性について

おもとの楽鉢、通気性がいいとは聞くけど、黒く厚いぼてっとした釉薬をかけて本当に通気性がいいのかな?と思った人は私だけではないはず。それでもおもとを育てていくと自然と根はまず鉢のへりに張り付くように伸びてゆくし、空気も通って環境は良いのだろうなとは実感できるようになってきました。

それでも実際を見てみるのが一番早い。ということで、ちょうど割れた鉢があるので見てみましょう。その薄さにはびっくり。縁や足とは比べ物にならないほどの薄さ!近づいてよく見てみると、割れた断面の生地が層になっていて、空気を含んでいるような感じです。ガラス質の黒の釉薬は楽鉢独特の製法、1200度から一気に外気にさらす急熱急冷で目に見えないような細かなひびが入って、そこも通気性を良くするポイントです。通気性が良いということは軽いということ。楽鉢は他の陶磁器と比べ持ってみると見た目よりずっと軽いです。

昔から気品と共に大切にされてきたおもとの楽鉢。上作にも一役買っています。作だけでなく、作の一助になりますように、自分の楽鉢を割るのももったいないので、この写真で薄さを実感してください。

ミルフィーユ 砂と粘土が合わさった生地ででぼこぼことしている。自然と根の多くは鉢のへりに張り付くように伸びてゆくし、空気も通って環境は良いのだろうなとは実感できるようになってきました。なかなか見れないものなので、是非ミルフィーユのような生地は層のようになっていて、ちょうど間の悪い所に、 たまたま鉢の整理をしていましたら割ってしまい、ました。

サナ
鉢底の穴は大きく商品に付属するオレンジ色の「サナ」と呼ばれるもので塞ぎ植えつけます。

※写真は代表写真です、号数により若干形状が異なります。また同じ号数でも手作りの焼き物なので形状・サイズにばらつきが御座います。
※弊園でも消費しておりますので正確な在庫管理のため少数しか在庫登録しておりません登録在庫以上必要な場合や大きなサイズの注文なども御注文・お問い合わせよりご相談ください。

おもとの栽培
そこにある、穴のあいた網のようなものが『さな』
その『さな』の乾き具合で水遣りをします。
まだ湿っているようなら何日でも開けます。
今、全国を歩いていますが、太平洋側では7月~9月前の夏場で、
2~3日開けている方が今年は作が良かったようです。
1日しっかり夕方水遣り、2日は富士砂やさなを確認して、
3日目、もしくは4日目にしっかりと水遣り<抜き水>
間の2日に振り水を遣られる方も、
植物が好きな方は、やはり水遣りが好きな方が多いので、
ついやりすぎてしまって根落ちがあったという方もありました。
名作者さんは、常に黒鉢の底のさなを触って、鉢の中を想像しています。
名作の道は黒鉢にもあり

 

粋な趣味者の友。

楽の良さである黒を主体に、縁と足だけ金を使ってある。全国大会に使える一番シンプルな鉢ともいえます。金がおもとの額縁になってくれるので、おもとがよく引き立ち、また締まった印象を与える鉢です。昔の殿様のように色絵付けの鉢ですべてのおもとを着飾るのも一興。また、この縁足金のようなちょっといい鉢でお棚を揃えて、きりりとした御棚の印象にしてもいいですね。通気よく、根張りがよくなる楽鉢にうえて。

おもと錦鉢  新鉢の金は良く光り過ぎるので使用する前半年くらい、外で水をかけると金の色が沈み落ち着きます。その後家の中に置き鑑賞すると良いです。